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2012年4月30日 (月)

先住民がGPS技術で伝統的土地利用を地図に

ガイアナ共和国のWapichan族が、先人から受け継いできた土地の熱帯雨林保護のために地域社会提案書を発表

2012年2月7日 IUCN News story

翻訳協力:古俣友美子  校正協力:小林睦子

2月7日、ジョージタウン: 南アメリカ・ガイアナ共和国(Guyana)の先住民族であるWapichan族は、現地で作成された、自分たちが先祖から受け継いできた土地のデジタル地図、および革新的な地域社会提案書を発表する。原始のままの状態で残されている140ヘクタールの熱帯雨林を保護することが目的だ。これは自分たちの自治体のためでもあり、世界のためでもある。

この地域の豊かな熱帯雨林、山地、湿地帯、サバンナ、そして熱帯林地は、地域全体で何世代にもわたって小規模な農業、狩猟、漁業、採集で生計を立ててきた20の自治体にとっての本土だ。ガイアナの南西部にあるSouth Rupununi地方に位置するその地域には、オオカワウソ、ジャガー、希少種のヤブイヌなどの絶滅種、そしてオナガクロアリドリ(Rio Branco Antbird)のようなその土地特有の鳥や魚など、極めてたくさんの種類の野生生物がいる。

地域住民によって作成されたこの提案書が発表されるのは、非常に重要な時期である。ガイアナ共和国のWapichan地域全体は、アマゾン川流域とギアナ盾状地(Guiana Shield)の他の多くの地域と同様に、巨大な道路とダムのプロジェクト、そして森林伐採、採鉱、農業関連産業の開発の外部計画に脅かされているからだ。ガイアナと南アメリカ全域の多くの先住民族と同様に、この地域の住民は自分たちが受け継いできた土地の大部分に対してしっかりとした法的所有権を持たないため、簡単に土地を奪われ疎外化されてしまう。

Wapichan族の人々は、受け継いできた土地に対しての権利を法的に認めてもらう長期キャンペーンの一環として、自分たちが慣れ親しんだ土地の使用法を地図にすることでこの脅威に対抗した。地図作成プロジェクトは、Wapichan地域の自治体組織に補佐されてきた前職と現職のToshaos(地域のリーダー)の指導のもとに、自治体の人々によって行われた。South Central Peoples Development Association (SCPDA)のKid James氏は、このように述べている。

「私たちの自治体の地図の作成者は、GPS技術を使って、おもな生活拠点、宗教および文化遺産の場所を地図にしました。それらの場所は私たちの民族とその生活様式の維持において深い意味を持つものです。10年にわたって辛抱強く作業を続けた結果、非常に満足のいくものが仕上がりました。慣習に従ってどのようにこの土地に住み、使用してきたか、そしてこの土地にどれほど愛着を持っているかを示すため、この地図をぜひとも政府当局に見せたいと考えています」。

受け継がれた知識と習慣的に使用してきた資源を文書で記録することを目的とした、地図作成と地域の調査を行うにあたって、Wapichan族は2008年から2011年の間に80以上もの地域協議会、討論会、市民集会を開いて、総合提案書を作成した。この提案書は、継続的な土地の使用を進め、地元の生活をサポートし、Wapichan族の土地を有害な開発から守ることを目的としている。提案は、土地を管理する慣習法について詳しく述べた「未来の世代について共に考える(Thinking Together for Those Coming Behind Us)」という題の詳細な地域計画の中に含まれており、その地域計画において、自治体の土地に対する権利を保証し、価値ある生活資源を守って継続的に使用し、自治体が管理している重要な文化遺産と野生生物の生息場所を保存することに40以上もの自治体が合意している。South-Central District Toshaos Council の議長である、ToshaoのHaibert Wilsonは次のように述べている。

「私たちの地域の全員が、ガイアナのアメリカインディアン法(Amerindian Act)と先住民族の権利に関する国際連合宣言(Declaration on the Rights of Indigenous Peoples)の枠組みの中で協力して、先住民から受け継いだ土地の使用と慣習を文書で記録し、私たちがWapichan wiiziと呼ぶこの美しい土地を守るための提案を進めてきました」。

South Rupununi District Tosahos Councilの議長であるPatrick Gomesは、このように述べている。

「私たちの計画案の中にある土地使用についての合意は、いくつもの自治体によってその正当性が証明され、その中には地域の東および南部分に巨大なWapichan保護森林を作るという提案、そして私たちの聖なる場所や、魚や狩猟動物、野生生物にとって重要な場所を守るためのたくさんの案が含まれています。またそれだけでなく、同じ所有権を有する境界線上にある私たちの村のあいだでの合意、そして所有権の延長の申請も含まれています。自分たちの土地に悪影響を与える外部開発に対処する自治体の規則と行動規範、そして自由で事前の理解に基づいた合意(FPIC)についての私たち集団の規則もまた、文書に記載されています」。

Wapichan族のリーダーは、森林についての自分たちの権利を守ることは、地域と世界の気候に重要な相互利益をもたらし、先住民族の権利に関する国際連合宣言(United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples)、およびこれに関連する人権についての法律、そしてガイアナが結んだ環境に関する協定の施行を促進すると強調している。Sawari Wa’o Amerindian Village のToshao であるAnglelbert Johnny はこう述べている。

「自分たちが昔から受け継いできた土地を管理、運営する権利を認めてもらうことは、ガイアナが気候変化の問題に取り組み、生物資源の保存と継続的使用を目的とする「生物多様性条約(Convention on Biological Diversity)」に基づいてその責務を果たすことを手助けする最善の方法のひとつになるでしょう」私たちの希望は、地域の地図と革新的な計画案を公表し、人々に知ってもらうことで、Wapichan族の本土の土地に対する構想を実現させる方法を探るために、政府と国際機関が対話を持ってくれることだ。Patrick Gomes はこうも述べている。「私たちはこの案を進める手助けをしてもらえるよう、政府と国内外の協力者に呼びかけます。協力しあって土地の所有権の延長を完全に認めてもらい、この自治体の合意をWapichan族、ガイアナの全国民、そして国際社会の利益のために役立てましょう」。

http://www.iucn.org/news_homepage/news_by_date/2012/?9137/Wapichan-people-in-Guyana-showcase-community-proposal-to-save-tropical-forests-on-their-traditional-lands

 

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