ミャンマー(ビルマ)政府、非合法ラン取引を取り締まる
Ei Ei Toe Lwin
The Myanmar Times Volume 31, No.603
2011年11月28日-12月4日
翻訳協力:鳥取 薫子 校正協力:岩崎友理子
先月政府官僚は、何千人ものラン取引業者が森林省(Ministry of Forestry)への事業登録の法的義務を公然と軽視していると認めた。
環境保全及び森林省(Ministry of Environmental Conservation and Forestry)の自然野生生物保護課(Nature and Wildlife Conservation Division)局長、 U Win Naing Thaw氏は、ランの合法販売のための販売許可の申請を行ったのは、ミャンマー・フローラ・バイオテクノロジー社の1社のみであると述べた。
ラン栽培業者・販売業者の大半が、ラン切花の無許可販売を規制している野生生物、自生植物と自然環境保護法(Protection of Wild Animals, Wild Plants and Conservation of Natural Areas Laws)に違反しているという認識がないという。
「一切の野生ラン採取は禁止されており、商業目的の栽培を希望する場合は、森林省に登録しなければなりません。しかしながら、この法律について認識している人がほとんどいないのが現状です。そのため、他部門および地域団体との協力のもと、この法律についての教育プログラムを実施しております。」とU Win Naing Thaw氏は述べた。
野生ランは1994年の法律で保護されており、ワシントン条約(CITES))でもランの国際間貿易が規制されている。
ミャンマーでは、ランは一般的に、集会、結婚式及びその他の祝事の飾り物として、または仏像の供華として使用されている。国内市場で販売されているランの大半は地元で栽培されているが、一部タイから輸入されている。
自然野生生物保護課の森林局長のU Nay Myo Shwe氏は、国内におけるランやその他の花の取引の繁栄は、ほぼ全てが違法の上に成り立っているが、当課は野生ラン輸出に対する法律施行の取り組みに焦点を当てていると語った。
「現在、私たちは小規模農園を取り締まるのではなく、おもに中国へのランの密輸の取り締まりに取り組んでいます」と述べた。
森林課(Forest Department)は、ランの花742 ビス(約1,187kg)とランの茎5810 ビス(約9,296kg)を中国へ密輸出しようとしたとして、2010年3名を逮捕した。有罪が確定した場合、7年の禁固刑または約596,525円(@\11.9305 / 1.3レート)の罰金、もしくはその両方に処せられる。
ミャンマー・フローラ・バイオテクノロジー社の経営者であり、ラン専門家である Saw Lwin博士は、ランは伝統薬用として中国で非常に需要があると語った。
「中国は需要の源泉です。中国ではある種のランの茎内にある組織がガンの進行を遅らせ、また時にはガン自体をも治癒することができると信じています。またお茶にランの茎をいれると、より若く健康的になるとも信じています。」と述べた。
野生ランの多くの種類はShan州、Chin州、 Kachin州及び、SagainならびにMandalay地域で発見されている。公的には841種のランが存在するが、より広範囲での調査が行われれば、1,500種類ほどに上ると専門家はみている。
Myanmar Floriculturalist Association (ミャンマー花卉栽培協会)のメンバーでもあるSaw Lwin博士は、違法採取により絶滅寸前の種類があると語った。
「こういった重要により、Chin州ではpazon(学名:Dendrobium invurvum)という名のランを地元住民が森林に入り採取しています。闇市で1ビスあたり715,830円(@\11.9305 / 1.3レート)にて販売できるからです。絶滅寸前の品種も存在します。 Shan州の一部では、大量のランが栽培され、中国へと輸出されています。」と述べた。
Saw Lwin博士は、欧州などの売上の見込みのある合法的輸出市場への道を開くため、2006年に自らのラン事業を森林省へ登録したと語った。
「研究室でランを生産し、地元市場にて販売しています。ゆくゆくは、海外市場への輸出も計画しています。合法的に輸出するためには、許可が必要です。また許可を受けることで、海外のバイヤーたちもランを輸入しやすくなるでしょう」と述べた。
「市場には大変多くの種類のランが溢れており、新種を開発しなければ輸出することも難しいです。だから、私たちはミャンマーのランを複製し、海外の他のランと異種交配させました。原種の多くがワシントン条約で守られています」と述べた。
許可登録申請書には、企業は栽培するランの種類名、栽培量、栽培方法、栽培地規模を明記する必要がある。許可証は毎年更新しなければならない。
「Myanmar Floriculturist Associationでのラン栽培ワークショップを設け、森林省に事業を登録するようアドバイスしました。登録料は約17,895円~23,861円(@\11.9305 / 1.3レート)であり、高額ではありませんので、なぜ登録しないのかが分かりません。」
しかしながら、多くのラン栽培業者及び販売業者は、ミャンマー・フローラ・バイオテクノロジー社ほどの高い向上心は持ち合わせていなかった。
「いつもタイのThirmingalarマーケットからランを輸入しています。ヤンゴンにおけるラン取引の中心地です」とKamaryut町のHledan マーケットでランやその他の花を販売しているMa Wai Wai氏は述べた。「雨季の間に、ランを少し販売しているだけです。ほとんどのお客さんは仏像の供華として買われていきます」。
ランが最も販売されるのは、多くの宗教行事や親族慶事が行われる10月~3月である。
同じくHledan マーケットで販売しているDaw Tin Nyunt氏は、自分のランは全て地元で仕入れていると語った。
「238円(@\11.9305 / 1.3レート)でランを仕入れ、954円~1,193円(@\11.9305 / 1.3レート)で顧客に販売しています。しかしながら、売れない場合は、仕入れたランは仕入れ損です」。
一般的にランは、通常1,193円~41,757円価格である。
Hmawbi町のLan Lay Sone地区 の自宅にてランビジネスを経営するDaw Tin Tin Aye氏は、ラン栽培にはコストがかかり、利益を得るのは難しいと述べた。
「市場では販売はしていませんが、時に直接顧客が購入しにくることがあります。たいていは直前に控えた集会や結婚式用です。ガーデニングが趣味ですので、基本的には花を販売することはありませんでしたが、今ではビジネスとして栽培しています」と述べ、「でも、誰も森林省への登録が必要だとは教えてくれませんでした」と付け加えた。
http://www.mmtimes.com/2011/news/603/news3160310.html
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