人員不足による打撃、野生生物局ハヤブサの売買を阻止できず
2011年10月17日 Dawn.com Ashfaq Yusufzai記者
翻訳協力:菊地清香 校正協力:豊田 実紗
ペシャワール、10月16日:カイバル・パクトゥンクワ州(Khyber Pakhtunkhwa)でのハヤブサ (falcons)の密猟、違法取引、不法所持があいかわらず野放しになっている。情報筋によると、野生生物局が人員不足や設備不足に直面しているのが原因だという。「この州で行われているハヤブサの密猟や密輸を阻止するのに、現地調査員450人のみでは足りません。各調査員が平均200平方キロメートルの広さを徒歩で担当しなければならないというのに、わなを仕掛ける者たちはずるがしこく、さまざまな仕掛け道具を備え持っているのです」と、ある野生生物上級専門官は話す。中央政府は2005年に鷹狩を禁止している。
州政府は1981年に、ハヤブサの捕獲および輸出の制限を目的とした規則を制定し、その規則にもとづき猟師、卸業者、輸出業者に対して許可書を発行することにより、年間597万881円(700万パキスタン・ルピー)を州政府は得た。
前述した上級専門官によると、Falcon Sarkarは世界最速の鳥と評されるが、冬にSiberia(シベリア)、Central Asian States(中央アジア諸国)、中国、アフガニスタンからパキスタンへ移動し、毎年9月から12月まで部族地帯であるKhyber Pakhtunkhwa、Punjab(パンジャーブ州)、 Balochistan(バローチスータン州)にとどまる。また上述の上級専門官によると、Falcon Sarkarの価格は、アラブ諸国での需要によって85万2,983円から852万9830円(100万パキスタン・ルピーから1千万パキスタン・ルピー)の間を変動している。
アラブ人は、パキスタン国内の他の州にいる鳥、とくにhoubara bustard(フサエリショウノガン)の狩りに使用する目的で、ハヤブサを買い求める。
ワシントン条約 (絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 CITES)は、2005年にハヤブサが絶滅危惧種であることを宣言し、パキスタンなどの条約締結国に対してハヤブサの輸出許可を停止するように求めた。
その結果、捕獲と取引に歯止めをかけてハヤブサを保護するために、2005年8月、中央政府は鷹狩を禁止した。「ハヤブサの個体数が増加傾向にある面を考慮する限り、この鷹狩禁止令は評価されています。しかし、ハヤブサの個体数は今なお適切な水準には達していません。禁止を徹底するのに必要な人手が足りず、資金も不足しているからです」とKhyber Pakhtunkhwa野生生物局の上級職員は述べている。
治安の乱れ、自然環境の悪化、農業の衰退、森林伐採によりハヤブサの生息地が破壊されているにもかかわらず、Khyber Pakhtunkhwaには現在約8千羽のハヤブサが生息していると、前述の上級職員は述べている。ハヤブサは、ほ乳類、鳥類、は虫類、昆虫を食べるという。
森林局職員であるAsad Lodhiの話によると、ハヤブサは、ワシントン条約によって絶滅危惧種と宣言され、IUCN(国際自然保護連合)パキスタン委員会によって危急種と宣言されて、Khyber Pakhtunkhwaにおいてはハヤブサの保護が実践できているとのことである。
1パキスタン・ルピー=0.85298円(2012/1/13)
http://www.dawn.com/2011/10/17/hit-by-staff-crisis-wildlife-dept-unable-to-check-falcon-trade.html
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