欧州漁業基金の大規模な濫用が公式報告で確認される
2011年12月 Wildlife Extra
情報提供 Birdlife(http://www.birdlife.org/community/ )
翻訳協力:豊永啓子 校正協力:柳川さやか
EU fisheries fund(欧州漁業基金)が魚の乱獲を助長している
2011年12月12日月曜日、EU Court of Auditors(欧州会計監査院)は、ヨーロッパでは魚の乱獲排除に失敗しているが、その代償は大きいと酷評する報告書を発表した。
その報告では、持続可能な水準で漁業活動が安定するよう計画された数十億ユーロの欧州漁業基金が、実際には目的に反した用途に使われていると確認されている。補助金による優遇措置によって、船舶の所有者達は大型船の収容力及び魚獲能力を高め、結果的に船舶の生産能力過剰をまねいている。船舶の廃棄用に支給された補助金は、実際その用途で使われるのはほんのわずかで、ほとんどは老朽化してもはや使用できない大型船のために使われているのだ。
根本的な欠点
監査院の役員は、納税者による補助金の誤った使い道は非難しなかったが、現存する船舶に関する調整則の中に根本的な欠点があると強調した。
ヨーロッパの魚種資源の75パーセントが乱獲されている
船舶の生産能力過剰が魚種資源の枯渇を招き、海洋生物及び漁業部門の活力や沿岸の地域社会を脅かしていると報告の中で警告している。結果として、ヨーロッパの魚種資源のうち、4分の3が乱獲されているのだ。
Birdlife Europe(バードライフ・ヨーロッパ)、 Greenpeace(グリーンピース)、 OCEAN2012、Seas At Risk及びWWF(世界自然保護基金)は、監査院の提案に追随するよう欧州会議及び閣僚会議に促している。船舶削減に期限を設け漁獲能力を充分に査定した結果に基づいた施策でなければ、CFP(共通漁業政策)の改正は無意味だろうと報告では説明されている、と監査院は主張している。
目的に適っていない改正
European Maritime & Fisheries Fund(欧州漁業基金の変更後名称)によると、The European Commission's(欧州委員会)の改正案は、役割を果たしていない。予防対策を整備しなければ、補助金が生産能力過剰を煽るのを止めさせる確証はほとんどない。むしろ逆の現象を招くことになりうる。例を挙げると、最近の委員会の提案では、加盟員が近代化の補助金を受け取る前に、漁獲能力と漁獲高のバランスを取っているか査定するよう要求はしていないのだ。
共通漁業政策改正。船舶を削減するための明確な計画と達成目標が、改正案の中に取り込まれるべきである。さらに、その本文は、最も維持できて信頼できる方法で、その漁業を優先させるような手段を紹介することにより、漁業権を割当てるための、より広範囲の選択肢を考案するよう改善されるべきである。
漁業関係の代表者達は、2012年の漁業割当を決定するために12月16日に会議を開く予定だ。この会議は、科学的な助言に一致して審議されるべきであり、2015年までに維持可能な漁獲量を最大限まで生産できる水準以上にまで漁獲貯蔵量を回復するという目標を一貫させるべきだ、と監査院は報じている。
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