保護団体、ワシントン条約のゾウに関する議論から締め出される
Jeremy Hance mongabay.com 2011年8月17日
翻訳協力:福永 詩乃 校正協力:柳川さやか
ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の常設委員会は、違法象牙を目的とするゾウの密猟の増加に関する議論中、保護活動を行うNGO団体を部屋から閉め出した。種生存のためのネットワーク(SSN)を構成する諸保護団体は、7票対6票で退出することとなったが、その日のうちに、再入室が許可された。
「これはワシントン条約にとって大きく一歩後退したことになります。市民社会団体はこうした議論の場に参加する権利があります。WWFを含むそれら団体のいくつかは、ワシントン条約のゾウに関する活動に対して資金提供をしているのですから、なおさらです。」WWF(世界自然保護基金)の野生生物取引政策アナリスト、Colman O’Criodain氏は、プレスリリースでこう述べた。WWFやその他約80のNGOによってSSNが構成されており、ワシントン条約の遵守強化に取り組んでいる。
この採決はクウェートによって提案された。ボツワナ、イラン、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、そしてノルウェーはみなSSNを退出させることに賛成した。 一方、オーストラリア、ブルガリア、コンゴ民主共和国、ケニア、ウクライナ、英国、そして米国はその措置に異議を唱えた。
「あまりのことに言葉もありません。これはひどい先例であり、私たちが他の議論への参加も拒まれるのであれば、ゾウだけでなく、いずれ他の多くの種についても、効果的な保護が損なわれることになります」SSNの代表であり、Born Free USA (ボーン・フリーUSA) とBorn Free Foundation(ボーン・フリー財団)のCEOであるWill Travers氏は、このように述べた。諸団体は、今回のことは議論の透明性をはかる上で危険な先例となった、と警告した。
ゾウの密猟は昨今、とくに中央アフリカで増加している。背後で密猟を推し進めているとされる中国の責任を指摘する声がほとんどだ。NGO Elephant Family(エレファント・ファミリー)によって行われた最近の調査によると、中国南部で売られる象牙製品は2004年以降倍増している。 その調査によると、彼らが訪れたマーケットの象牙の63 %は違法に仕入れられたものである。つまり売買を管理しようとする取り組みは失敗しているということだ。
アフリカゾウ(学名 Loxodonta Africana ロクソドンタ・アフリカーナ)は現在、国際自然保護連合(IUCN)のレッド・リストにおいて危急種に指定されており、さらにアジアゾウ(学名 Elephas maximus エレファス・マキシムス)は絶滅危惧種に指定されている。一方、科学者らによって、最近アフリカにはもう一種、マルミミゾウ(学名 Loxodonta cyclotis ロクソドンタ・サイクロティス)という、コンゴの熱帯雨林に生息するゾウがいるということが明らかになっている。このゾウは、サバンナに生息するアフリカゾウに比べて小さく、よりまっすぐな牙をもつ。この種もまた、密猟によって絶滅の危機に瀕する可能性が高い。
原文
http://news.mongabay.com/2011/0817-hance_elephants_cites.html
*野生生物保全論研究会(JWCS)もSSNの会員です。
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