センザンコウ違法販売でヤンゴンのレストラン摘発
Ei Ei Toe Lwin記 The Myanmar Times 2011年9月12日-18日
翻訳協力:木田 直子 校正協力:小林 玲子
先週当局は、ミャンマーでは食用や伝統薬の原料を目的としたセンザンコウの違法取引が大きな問題になりつつあると認めた。これはある野生動物団体が、今や東南アジアではアリを食べるこの動物が最も密輸される哺乳類になっていると述べたことを受けたものである。
過去18カ月の間に、環境保全及び森林省(Ministry of Environmental Conservation and Forestry)は、8頭の生きたセンザンコウと245ビス(約400キログラム)のセンザンコウの鱗を国外へ密輸しようとしたとして6名を告発した。
2010年3月には、これ以外に13頭の生きたセンザンコウがBahan township(バハン地区)のKabar Aye Pagoda RoadにあるSan Chuanレストランで発見されている。内報を受けた森林省が敷地内を捜索した結果、このレストランのオーナーが逮捕されるにいたったが、その後有罪が確定したかどうかは不明である。ただし、これはおそらくセンザンコウの取引全体のうちのごく一部にすぎないと政府当局や環境団体は言う。
「野生生物の密輸業者たちは、生きたままであれ特定の部位であれ、国外へ輸出するために今まで以上にセンザンコウに狙いを定めています」と、環境保全及び森林省の自然・野生生物保護課の森林職員であるU Nay Myo Shweは述べた。「密猟者がセンザンコウをますます手に入れたがるようになってきっているのは、中国に大きな需要があるからです。中国では、センザンコウの肉を食べたり、鱗から伝統薬を作ったりしているのです」。
ミャンマーには、ミャンマー語でthin khwe chatと呼ばれるセンザンコウが2種類生息している。ミミセンザンコウ(Manis pentadactyla)とマレーセンザンコウ(Manis javanica)である。
両方とも1994年に発布されたProtection of Wild Animals, Wild Plants and Conservation of Natural Areas Law(野生生物、自生植物と自然環境保護法)のもとで保護されており、違反した場合は最大7年の禁固刑と5万チャット(約60万円:1チャット=11.83円、2011年10月2日現在)の罰金が課せられる。
U Nay Myo Shweが言うには、11月にバンコクで開かれる国際自然保護連合(International Union for the Conservation of Nature and Natural Resources:IUCN)の第16回メンバー会議において、ASEAN諸国はCITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)のもとでセンザンコウにより大きな保護が与えられるよう提案するつもりだとのことである。
「センザンコウがCITES絶滅危惧種附属書Iに記載されるよう提案するつもりです」と、彼は言った。「これはミャンマーだけの問題ではなく、タイやマレーシア、インドネシアなど他の東南アジア諸国でも同じことです」
また、森林省は、保護された野生生物の密輸で逮捕された場合の罰金を増額すべく、1994年の密輸対策法の改定も計画している。「今や5万チャットでは不十分です。その程度の額ではだれも止めることはできません」と、彼は述べた。ミャンマー野鳥自然保護協会(Myanmar Birds and Nature Society)会長のU Soe Nyuntは、センザンコウはミャンマーから違法に持ち出される「数多の」種のうちのひとつだと語った。
「密輸業者に対する罰則は弱すぎると思います。すぐに何か手を打たないと、これからも多くの野生生物が絶滅することでしょう。森林省は、裁判所が法に従って実際に密輸業者を処罰したかどうかを確認すべきです」自然野生生物保護課(Nature and Wildlife Conservation Division)のU Win Naing Thaw課長は、政府は5月に国内の野生生物保護法執行ネットワーク(National Wildlife Enforcement Network)をより効率的に再編したと明かした。
「一部の組織は、ミャンマー政府には生きた動物や部位の違法取引をやめさせる力があまりないと言います。しかし、ほとんどの取引はシャン州東部(eastern Shan State)で行われており、その地域では反乱や政情不穏のために治安の維持が困難なのです」と、彼は述べた。「私たちは国境検問所で(取引を)取り締まり、内部情報が得られたときは検挙するようにしています」
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