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2011年10月27日 (木)

タツノオトシゴ 減少の理由

2011年8月26日(金)、フィリピン Paul M. Icamina

翻訳協力:鈴木 洋子  校正協力:T.T.

極めて忠実な配偶者 雄のみが出産 
 雄のタツノオトシゴは、動物界で唯一出産する動物である。
雌は雄の育児嚢に卵を預けて、そこで卵は受精され、胚は10日から6週間発育する。
タツノオトシゴは貞節で有名である。雄雌のペアは、他者を一切介入させず、繰り返しつがいとなる。
一雌一雄関係は、数分間続くダンスの儀式で毎日挨拶することで強められる。
 その後、ペアはその日の残りを離れて過ごす。それからまた、ペアはパートナー以外を無視する。この行動は、すべての動物においても非常に稀なことであり、さらに魚類にいたってはペアが生活を共にするという事実だけでも珍しい。

 これは取るに足りないことにとどまらず、重大な影響を及ぼしている。交配の貞節の厳格さには、乱獲を一層ひどくするという特徴があるからだ。
 これは、ほとんどのタツノオトシゴが単独で採取されるためである。パートナーがいないタツノオトシゴは現れた最初の相手とつがいとなるが、貞節のためにパートナーがいない者は極めてまれである。再度ペアになるには時間がかかる。すなわち、分かれると繁殖サイクルが分断され、子孫が減少する。

 タツノオトシゴはHippocampus(タツノオトシゴ属)に属し、これはギリシャ語のhippos(馬)とcampus(海の怪獣)に由来している。
 タツノオトシゴは、馬に似た頭、猿のようなしっぽとカンガルーのような腹袋を持っている。目はカメレオンのようである。外見的には異なるが、マグロやサケなどの他の硬骨魚すべてと同じ綱に属する。

 タツノオトシゴは泳ぎは下手で、温帯や熱帯地域でほとんどはマングローブ域、河口域、海藻・海草生育域やサンゴ礁の浅い沿岸地域に生息する。タツノオトシゴの保護とは、破壊的な人間の活動に脅かされているこうした様々な生息場所を保護することを意味する。
 成熟したタツノオトシゴはカムフラージュに優れているため、捕食者は少ない。長い間動かずとどまって、背景に合わせるように色を変える。まずそうに見える骨板と骨棘があり、人間による場合を除いては、ほとんどそのままほっておかれる。

 タツノオトシゴが不利な状況に置かれる理由は、次のとおりである。地理的な分布に厚みがなく、移動性が低く、行動圏が狭く、子育て期間が長く、そして生殖能力が低い(一部については一回の妊娠につき最大1,500匹の子供であるが、どの地域でもだいたい2~200匹の範囲にある)。

生死を問わず

タツノオトシゴは、一部は混獲で、すなわちトロール網やその他の網で捕らえられ、大部分は職人技の漁法で捕らえられる。タツノオトシゴは、中央フィリピンでは夜にボートで捕獲され、西ビサヤでは昼間いかだ舟から叉手網を用いて捕獲される。

 生のタツノオトシゴの売値は安く、個体あたりで買われる。ただし、体長が10 cmほどのタツノオトシゴはそれよりも高価で、目方で買われる。日干ししたものが最も高く目方で買われる。

 生きているか死んでいるかは「保存期間内ではあまり重要でない。(なぜなら)タツノオトシゴは捕獲されるととにかくすぐに死んでしまうからです。」と、1994 年にProject Seahorseを設立したオックスフォード大学のAmanda C.J. Vincent氏は記述している。このプロジェクトはBohol(ボホール)に根拠地を置く国際的な保護グループである。

 タツノオトシゴは、人間の愚かな思いつきで、観賞魚、骨董品や土産品、宝石類アクセサリー、キーホルダー、文鎮や手工芸品用として多くの用途がある。

 タツノオトシゴについておそらく唯一の正当な使用は、約600年間使用されてきた伝統的な漢方薬である。今日、タツノオトシゴの粉末は中国のドラッグストアの製品となっており、背部痛から性的不全にいたるまでの病気に処方される。おもな市場は中国で、およそ年間600万匹のタツノオトシゴが売買され、この10年間で10倍増加したとみられている。伝統的な漢方薬だけで年間2000万匹と見積もる人もいる。

 Vincent氏の報告によれば、フィリピンの漁師は数年前1日約60匹を捕獲していたが、現在は多くて1日10匹である。それにもかかわらず、Vincent氏は禁止を推奨しない。なぜなら禁止すれば隠れて行われる不正取引の後押しをすることになり、捕獲の減少が止まることはない。

 タツノオトシゴの養殖もまた「魔法の解決策」ではない。「わずかだけになってしまった野生の個体群に取って代わるために飼育動物を当てにできません」と、伝統的な漢方薬にしかるべき敬意の念を持って保全と管理を提言しているVincent氏は述べている。

 絶滅の危機に瀕している種のレッドリストでは、33種のタツノオトシゴのうち9種が絶滅危惧II類としてリストに載っており、1種が絶滅危惧IB類である。その他の23種はData Deficient(情報不足で評価できない)種としてリストに載っているが、これは科学的知識の不足を意味している。

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)によれば、2005年には野生の状態で約81,000匹のタツノオトシゴが捕獲され、ヨーロッパと北アメリカのペットショップがその90%を得ている。その数は2007年には約50,000匹に減少し、近年さらに下がっている。CITESのデータでは、野生の状態で捕獲されたタツノオトシゴは2000年におけるおよそ30,000匹から近年では5000匹に減少している。

 タツノオトシゴの最大の輸出国はインド、フィリピン、タイおよびベトナムのようである。Project Seahorseによれば、フィリピンとインドネシアでのタツノオトシゴの捕獲において70%の大幅な減少が見られた。
 CITESは、養殖されたタツノオトシゴが国際取引された数を45,000~90,000匹と見積もっていて、中でも、スリランカとベトナムが国際市場への供給を開始した2006年が最多だったということである。
タツノオトシゴの養殖場は現在、オーストラリア、ハワイ、ニュージーランド、ブラジル、ドイツ、インドネシア、イスラエル、メキシコ、韓国およびイギリスで運営されている。

 野生の状態で捕獲されたタツノオトシゴの価格は、国際的な規制が厳しくなったために急騰した。たとえば、約10年前のオーストラリアでは1匹10ドル(766.9円 1ドル76.69円:2011/10/12)であったが、今日ではどの地域でも50 ドル(3834.5円)ドルから100ドル(7669円)の範囲にまで上昇している。

http://www.malaya.com.ph/aug26/agri2.html

 

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