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2011年8月 1日 (月)

見えない動き:アジア野生生物の不法取引


Vanda Felbab-Brown, Fellow, Foreign Policy, 21st Century Defense Initiative

The Brookings Institution

翻訳協力:古俣友美子 校正協力:道本美穂

2011年6月 -
 東南アジアは、世界の「野生生物取引ホットスポット」の一つに急速になりつつあるが、その一方でこうした不法行為は、この地域の生物多様性と種の保全に計り知れない脅威を与えている。ブルッキングス研究所(The Brookings Institution)21世紀防衛イニシアチブ外交政策研究フェロー(Fellow, Foreign Policy, 21st Century Defense Initiative )のVanda Felbab-Brown氏は、この不法取引市場の有害な影響に対抗し保護を強化するための規制構造を形成するという内容の、一連の広範な政策提言を行っている。


 中国、インドネシア、インドなどさらに大きなアジア市場へのつながりを持つ東南アジアは、世界の生物多様性ホットスポットの一つであるだけでなく、野生生物とその体のパーツの不法取引に関する世界的なホットスポットの一つでもある。野生生物の需要は、不法に取引されたものも含めて世界中の市場で見られるが、野生生物とその製品の不法取引で世界最大規模の市場を持つのは中国であり、米国がこれに続く。

 世界的には、取引・消費されている種の数と多様性は、驚異的で前例のない規模にまで増加しており、それが非常に深刻な種の喪失の一因となっている。東南アジアだけでも、野生生物の不法取引は、金額に換算すると年間で80~100億ドルにのぼると推定され、野生生物は持続可能な水準の何倍もの量を捕獲されている。

 気候の変動、森林伐採その他の生息環境の破壊、産業汚染、在来種と外来種間の競争など、その他の環境上の脅威も生態系に大規模な影響を与えることが多い。しかし環境を破壊し、かつその多くが不法でもある野生生物の取引は、広範な地域で種を絶滅に追い込み、ひいては世界的な絶滅に追い込むだけの力を持っている――とくに、他の環境上の脅威によりすでに絶滅の危機が増大しているような種については、絶滅に追い込まれてしまうだろう。

 野生生物の不法取引(また、合法でも管理が不適切で環境を破壊するような取引)が引き起こす脅威は、深刻で複合的だ。この脅威には、種と生物多様性の取り返しのつかない喪失、より大きな生態系の徹底的なかく乱などが挙げられる。また、種およびそれを利用した医薬品やその他派生商品、種に関連するエコツーリズムといった環境を破壊しない合法取引が崩壊することで生じる経済的損失もある。また、食料供給および森林に依存して生活している人々の収入への深刻な脅威、ウィルスと病気の蔓延、野生生物の不法取引を資金の引き当てや調達に利用する組織的な犯罪・過激派グループの強化などの脅威もある。

 野生生物の不法取引の核心となっているのは、強力で急速に拡大する需要である。これには、ブッシュミートへの需要も含まれる――つまり、野生生物の肉を主なタンパク源としている周囲から孤立した地域社会、そして外国の珍しい肉をぜいたく品として食する富裕層の需要である。野生生物はその他に、骨董、戦利品、コレクション、アクセサリー、毛皮、ペットとしても需要がある。また、漢方薬(Traditional Chinese Medicine―TCM)の使用によって生じる需要も大きい。漢方薬では、さまざまな病気の治療、健康と長命の維持、性的能力の向上のために、自然の植物や動物、鉱物を原料とする物質が使用され、何億人もの人々がこれを利用している。現在では効果的な他の医薬品が手に入るにもかかわらず、――これらの漢方薬の多くは何でも治せるというわけではなく、漢方薬の材料の供給は不法なルートと危機的水準の密猟によるものとなっていることが多い――漢方薬の需要は大幅に増加し続けている。

 不法なルートから入手され取引された野生生物の供給が拡大の一途をたどっている原因としては、東南アジアと東アジアでの経済の開放、これらの国における合法・違法を問わない貿易関係の強化、かつては近づくことのできなかった原生地域へのインフラの開発、商業目的での木材の伐採などが挙げられる。

 野生生物の不法な取引には、複雑でさまざまな関係者が関わっている。例えば、昔ながらの貧しいハンターからプロのハンターまで多岐にわたる違法ハンター、中間業者層、最高水準の貿易業者や組織的犯罪グループ、野生生物製品のローンダラー(不正な捕獲・飼育を行う農場や民間の動物園など)、過激派組織などが挙げられる。また裕福な人々から世界でも有数の貧しい人々までをも含む現地や遠隔地の消費者なども関係者の一部だ。その他野生生物の取引と保護に関する規制上の関係者としては、木材会社、農業関連産業、漁業従事者、地元の警察と執行部隊、政府機関などがある。野生生物の保護と生物多様性の維持を確実に行うためには、野生生物の不法取引を制限する政策と法執行に関する戦略が必要だが、これらは、違法行為の複雑で関係者個別の要因に対処する必要がある。

 東南アジアと東アジアでは、野生生物の不法取引を阻止するための政府政策は、野生生物の取引を取り締まる法律が脆弱であること、法執行が限定的であること、罰則が甘いことを常に一般的な特徴とする。そして市民のほとんどは、自分たち消費者の行動がどれほど地域のかつ世界中の生態系破壊の原因となっているかに気づいていない(また多くの場合関心がない)が、こうした市民に情報を提供しようとする政府の努力もまた、変わらず不十分である。

 アジアの捕獲・飼育施設の監視もおおむね甘く、そのために不法なルートで入手された野生生物のローンダリングがますます増加し、また不法で環境を破壊する行動を阻止するための野生生物の合法取引の力が損なわれてしまっている。

 しかしそれでもなお、アジアにおける野生生物の不法取引に対する政府の対応は強化、改善されつつある。この地域の多くの政府機関が法律と法の執行を強化させている。東南アジア各国はASEAN野生動物執行ネットワーク(ASEAN-Wildlife Enforcement Network -ASEAN-WEN)を設立し、法の執行を強化している。そして中国までもが、合法な野生生物製品にその旨を明示することを大々的に始めている。

 環境破壊と違法行為は、いまだにアジア、そして世界のさまざまな地域における野生生物の取引の特色となっており、規制の改善と、より効果的な法の執行が強く求められている。しかし残念ながら、この問題に対する簡単な解決法はない。そして具体的な規制政策のほとんどが、実施が困難であったり、難しい代償やジレンマを伴っている。


http://www.brookings.edu/papers/2011/06_illegal_wildlife_trade_felbabbrown.aspx

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