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2010年3月12日 (金)

アフリカ:次なる象牙争奪戦が始まろうとしている

Rolf D. Baldus, AFRICAN INDABA Newsletter
2010年1月/2月

翻訳協力:豊永啓子 校正協力:棚田由紀子

 2010年3月13日から25日まで、カタールの首都ドーハにて「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約、CITES)の締結国175カ国の代表者と数多くの非政府組織(NGO)が、絶滅危惧種のアップリスト(規制レベルの低い附属書から高い附属書へ移すこと)やダウンリスト(規制レベルの高い附属書から低い附属書へ移すこと)について討論を行う予定だ。いずれの決定事項も取引に関することのみだが、自然保護に重大な影響力を持つだろう。国によっては、決定事項が経済を大きく左右することにもなるだろう。

象牙は、例のごとく最も論議の的となる話題のひとつだ。タンザニアとザンビアは今回、在庫象牙の販売を要求している。この2国は90トン、日本及び中国に対しては各々22トンずつ販売する計画を立てている。その売上金は、自然保護や野生動物の管理にのみ使用されることになっているが、同時に両国は、自国のゾウの個体群を附属書ⅠからⅡへダウンリストするよう求めている。

これによってゾウの狩猟に関する形式的で煩雑な手続きが減り、ハンター達に贈られるトロフィーの輸入(とくに米国向け)はかなり容易になるだろう。その上、扱いにくい動物としてゾウを射殺する必要がある場合、その高価な皮を草むらの中で腐らせたりせずに売ってしまうことも起こり得る。

このような場合、通常では動物の権利保護を訴える活動家が前もって抗議を申し入れ、そのような象牙の販売が密猟を煽ることになると主張していた。前回のワシントン条約会議の準備期間中に、動物保護活動家はゾウの密猟に関する過去の恐るべきデータを何でもすぐに飛びつくマスコミに発表したが、多くの場合、そのデータや事例は全くの虚偽であった。

だが、初めて懸念する事態になっているにも関わらず、今では密猟などについて見聞きすることはほとんどない。「今年私たちは、密猟や密輸、違法象牙の押収が悲惨なほど増えているのに気付きました」こう語るのは、German CITES Authorityの責任者で、ドイツ連邦政府自然保護局(German Federal Office for Nature Conservation)の Dietrich Jelden博士だ。密輸がアフリカ大陸全土で横行していた1980年代の状態に逆戻りしているという話もすでに出ている。

2009年の間に、多くの象牙が押収された。この大規模な押収の原因や背後にいる人々については不明なままだ。今のところ、密輸の増加原因は分かっていない。ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ及び南アフリカが所有する在庫象牙の内、1年前に中国と日本へ100トンを販売することを認めたワシントン条約によって、密猟が煽られるように次々と発生したという証拠もない。押収された象牙のほとんどは、この象牙販売より前に密猟されているのである。

中国には合法違法を問わず、象牙の巨大市場が存在することは間違いない。中国では、贅沢品を欲しがる人々が急増しているのだ。今では、中国の取引業者や起業家がアフリカのさまざまな場所にやってきては、原料を取引するために買い付けをしている。「こうした場所で価値ある材料がいきなり違法に採取され、密猟が増加するのは決して偶然などではありません。」モザンピークやタンザニアでの手口を知っているプロのハンターはこう話す。

アフリカでは、違法取引と闘う際に支援をしない国が多い。ワシントン条約のために象牙や他の天然記念物の違法取引を監視する組織であるTRAFFIC(野生動植物国際取引調査記録特別委員会)は、この20年間、ゾウが生息する国々での密猟対策の有効性を示す指数を算出している。この指数は、国内での押収物と国外での押収物との相関関係で計算される。

例えば、アンゴラの指数はただのゼロになる。アンゴラ産の象牙は160回押収されたが、すべて国外での押収で、国内での押収物はないからだ。セネガル、赤道ギニア共和国、トーゴもまたゼロという実績に成功した。コンゴ民主共和国の指数は0.01だが、これも悪い数値ではない。注目すべきは指数が6から396の国々だ。マリ、ギニア、ガーナ、ベニンは、ほぼこのレベルだが、例を挙げればきりがない。

タンザニアは、ゾウの個体数がアフリカ大陸で2番目に多い生息地である。この東アフリカの国は備蓄している象牙の一部を売りたがっているが、国内の状況もまた良くなかった。タンザニアは、かつて密猟対策の有効性が称賛されたこともあったが、指数は100と計算され、ここ数年は劇的な悪化に苦しんでいる。

同時に、タンザニア産の象牙は国外での押収が増加している。2009年における最大規模の押収は、香港で11トン、ベトナムで8トン、フィリピンで3.5トン、日本では牙608本である。TRAFFICは、このような状況の原因はタンザニアでの汚職にあると見ている。押収された数量が多いため、犯罪組織が糸を引いている疑いがあるからだ。タンザニアはまた、他の国々からの象牙の中継国という特別な役割も担っている。

2009年、500万エーカーのセルース猟獣保護区(Selous Game Reserve)で、最も劇的で行き過ぎた密猟の実態が明らかになった。状況が一番ひどいのは保護区の北部エリアで、そこは観光客用のロッジがある場所だ。宿泊客は密猟者の銃声が聞こえるのである。

ロッジ側が無線で近くの公園本部から見張り役を呼び出しても、その見張り役が来るのは翌日で、仮に来たとしても一切何もせずに引き上げる。レンジャー(森林警備員)自身が関わっている兆候がだんだん増加しており、まるで1980年代の出来事のようだ。レンジャーのおもな詰所近くにある獣道で4頭のゾウが撃たれたことを一体どう説明できるだろう? 

観光客の視界に入る範囲でさえも、ゲームレンジャー(狩猟対象の鳥獣を担当するレンジャー)はシマウマや他の獲物を撃っている。そして、その肉は燻製にされ売られているのである。だが、彼らを責める者はほとんどない。なぜなら、何カ月にも渡って滅多に給料が支払われないからだ。20世紀末、セルースでのゾウの密猟は、ドイツの支援を受け、年間約5,000頭からほぼゼロにまで減少した。当時の保護区の資金繰りが良かったことは、重要な手段の一つに挙げられる。財務大臣が承認した計画で、およそ500万米ドル(約4億4,500万円、1ドル=約89円,2010年2月10日現在)の狩猟税収の半分が保護区に残されたのである。これらの財源で、レンジャーに充分な給料が支払われ、車などの移動手段や基幹施設も維持され、密猟は効果的に抑えられた。

しかし、このシステムはタンザニア政府に覆され、2009年の割り当て分は60万米ドル(約5,340万円)程度で、生きるにも死ぬにも不十分な額だ。驚いたことに、野生動物を管理する関係局への援助を希望していた寄贈団体さえも拒否されたのである。

北部エリアの観光客用ロッジでは、2009年に80件を超える密猟が記録されていた。そして、その地域は保護区全体のたったの2%でしかない。「観光客の入場料は過去2年間で2.5倍に値上がりする一方、保護区に対する資金の分配は減少し、密猟は4倍になりました。」ホテルの経営者が担当大臣に訴えた。「私達はゾウが逃げ回っていることを断固として申し立てます。」とうとう国内の主要紙が同じような内容の記事を掲載したところ、ヘリコプターの力を借りた治安維持活動が2009年11月に実施された。すでに最初の2週間で70人が逮捕されており、あらゆる種類の武器が発見され、キリンやカバ、他の野生動物の肉に加え100kgの象牙が押収された。

しかしながら、実地体験で分かったのは、このような一時的な緊急措置は密猟の傾向を一変させるには向いていないということだ。こうした行動の大部分が、実は体裁づくりのためだったのである。いわゆるキペペオ作戦が終了してから一週間後、全てがいつも通りになり、ある観光客のキャンプ近くに約60名を収容する密猟キャンプがあるのをホテルの経営者が発見した。28艘のカヌーと大きな口径のライフル銃も見つかっている。

各地域に住むゾウの個体群にとって密猟は有害であるとはいえ、種としてのアフリカゾウが密猟によって今すぐにも絶滅することはないだろう。管理されていない個体群については、ゲームレンジャー気取りの密猟者が、度を超えた個体数減少を引き起こしていることが多い。

南アフリカ共和国のゾウの専門家で、もっとも急進的な「間引き」賛成論者であることは間違いないRon Thomson氏は、こう述べた。「もし我々が、生物多様性にとって取り返しのつかない損害を避けたいなら、ゾウの個体数を減らさなければなりません。ボツワナで150,000頭を5,000頭に、クリューガー国立公園(Kruger National Park)では16,000頭を4,000頭に、シンバブエのホワンゲ国立公園(Hwange National park)では60,000頭を2,500頭に減らすのです。」

タンザニアは、間もなく今年のゾウの個体数調査の結果を発表するだろう。しかし、高地でのゾウの環境収容力は11万頭とされており、タンザニアの「ゾウ管理計画」(Elephant Management Plan)の頭数を今のところ上回っている。たった100頭のゾウだけが狩猟目的の観光客に撃たれているだけだ。これは個体数のわずか0.1%と算出されている。最近の狩猟は、おそらく有意義なゾウの管理ができていないことに対する反発でもあるのだろう。この有意義なゾウの管理は、動物の権利という視点に大きく影響を受けた世論にも妨害されている。適切で組織的にゾウを管理すると、さらなるゾウ狩りや、場合によってはある程度の間引きも行なわれるだろうが、農村の生計や野生動物局(Wildlife Division)の歳入に大いに貢献できるはずである。密猟はそうではなく破壊的で、ゾウの社会構造を滅茶苦茶にし、ゾウを虐待することになり、貴重な国の資源を台無しにしてしまう。

実際のところ、もし密猟がなかったら、今頃タンザニアは組織的なゾウの間引きに頼らなければならなかったのかもしれない。だが、その象牙と一体どう付き合うのか? ダルエスサラームのおもな店では112トンの象牙を保管しており、アルーシャやンゴロンゴロでは、13トンが保管されている。その保管費用は、概算で年間12万米ドル(約1,068万円)、しかもタンザニアはその保管象牙からまったく利益を得ていないのである。「売る事ができないなら、我々は他に象牙の店を建てなければならない」タンザニアが提出したワシントン条約の決議案では、こう語られている。このプロジェクトに参加する建設会社は簡単に見つかるかもしれない。現在、象牙を保管している倉庫の隣には、タンザニア野生動物管理局が入居している新しい6階建てのオフィスビルがあるのだが、そのビルは中国人によって建てられたのだから!

http://www.africanindaba.co.za/Newsletter/12.htm

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