ドイツ人貿易商、絶滅の危機にあるサンゴの密輸で罰金
2010年1月14日 オレゴン州ポートランド、(環境ニュースサービス)
翻訳協力:日原直子 校正協力:津田和泉
ドイツ国籍のGunther Wenzek氏が、40トン以上のサンゴを密輸しオレゴン州ポートランド港に持ち込んだため、3年間の執行猶予付きで(刑を)執行、35,000ドル以上の罰金を支払旨宣告を受けたと、今日法務省は発表した。
オレゴン地区の米国地裁のAnna Brown判事は、犯罪に対する罰金1,499,108円(16,510ドル:1ドル=90.8円、2010年2月3日)、国立海洋大気局への損害賠償約908,000円(10,000ドル)、そして地域サービス料807,212円(8,890ドル)を含む刑罰を科した。
Wenzek氏は、ドイツのエッセンに拠点を置くCoraPetという名称の会社を経営しており、さまざまなサンゴの製品をアメリカ合衆国の小売商に販売している。Wenzek氏がフィリピン沖からポートランドに、サンゴ礁から絶滅の危険にあるサンゴの断片を積んだ貨物を船で輸送しようとした後の2007年に調査は開始された。
この最初の船による輸送が行われた後、調査官は、ポートランドの税関にWerek氏が船で輸送した絶滅の危険にあるサンゴを満載した2台の貨物を押収した。
大陪審は、2008年7月、Wenzek氏を起訴した。2009年10月14日、Werek氏は密輸の罪を認めた。同氏は、故意にサンゴを野生生物として申告することを怠ったことを認めた。
輸入品として野生生物を申告することは、絶滅の危機にある種が非合法的にアメリカ合衆国に輸入されていないことを保証するために絶対に必要である。
押収されたサンゴは、イシサンゴ目のハマサンゴ、ミドリイシ、ハナヤサイサンゴ属と同定されており、フィリピンのサンゴ礁に一般的な種である。
絶滅の危機があるために、イシサンゴ、つまり本件で押収されたような種は、国際法により保護されている。フィリピン法では、とりわけあらゆるサンゴの輸出を禁止している。
さらに ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)は、Wenzek氏がアメリカ合衆国の消費者向けに輸入しようとしたサンゴを許可なしに輸入することを禁止している。
ハマサンゴ、ミドリイシ、ハナヤサイサンゴのようなイシサンゴは野生生物の取引に入り、死んだサンゴの骨格は、装飾品・骨董品・彫刻・宝飾品類向けに取引され、生きたサンゴは、趣味で水槽を持つ人や公立水族館に向けて取引される。
「世界のサンゴ礁の多くが、気候変動によりますます絶滅の危機にさらされているため、サンゴの非合法的な採取や取引を禁止することが、これまで以上に重要になっています」と、Paul Chang氏は述べた。Paul Changは、ポートランドに拠点を置く米国魚類野生生物局の太平洋地域のための、法の執行を担当する特別法務執行官である。「本件の場合、法務執行官の協力により、ひとりよがりの密輸業者に大切な資源に対する暴挙は許されないであろうというメッセージを送っています。」
本件は、米国魚類野生生物局、米国移民税関執行局、国立海洋漁業サービスにより調査された。本件は、オレゴン地区の米国弁護士事務所、法務省の環境犯罪部により起訴された。
「サンゴ礁は、漁業を維持するために、生物多様性のために、(魚類の)生息地のために、気候変動に対処するために、絶対に必要な資源です。我々がこの資源を擁護し、刑事上の違反者を起訴して、世界中本件を追跡する覚悟ができていることを、(サンゴの)輸入業者は知る必要があります」と、オレゴン地区の米国弁護士代理Kent Robinson氏は述べた。
「フィリピン政府の援助が、本件の成功にまさに決定的でした」とこの弁護士代理は述べた。「我々は、海洋資源を保護するのに不可欠な支援をしてくれたフィリピン政府とフィリピン人に感謝しています。」
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