両生類の専門家が狙いを定めた高致死率のカエルのカビ(ツボカビ)
2009年8月25日 IUCN ニュース-プレスリリース
翻訳協力:永関浩樹
世界をリードする両生類の専門家が集まり、両生類が絶滅に向かうのを食い止めるための2つの重要な保護イニシアチブを初めて確認した。
新しい組織連合である、Amphibian Survival Alliance(ASA:(仮)両生類保存同盟)は、両生類のツボカビ蔓延の抑制と、各両生類の原産地である、それぞれ世界で唯一存在する生息地の保護を重点的に取り扱うため設置された。両生類は、世界で最も絶滅の危機に瀕した動物群で、すでに知られている6,000の両生類の種のうち、3種類に1種類が絶滅の危機にある。
「世界中の両生類が生き残りへの苦しい戦いを強いられています。」とJames Collins(IUCN Amphibian Specialist Group共同議長)は語る。「感染症、生息地の喪失、気候変動、外来種、商業的利用、汚染のすべてが両生類の生存に影響します。飛び抜けて悪い脅威なのは感染症と生息地の破壊なので、この同盟ではまずこれらの問題について重点的に取り扱うことになります。」
この同盟は、先週、Zoological Society of Londonの場での第1回Amphibian Mini Summitで提案され、野生が専門の両生類の専門家と、動物園・水族館・植物園に所属する両生類の専門家が集まっている。
「両生類の絶滅危機を食い止めることを望むならば、生息地の破壊により両生類が危機に瀕している地域を保護する必要があります。」と、Claude Gascon(IUCN Amphibian Specialist Groupの共同議長)は語る。「両生類がここまで苦境に陥っている1つの理由に、多くの種が1箇所のみで発見されている故、生息地の喪失の影響を非常に受けやすいことがあります。」
両生類のツボカビ蔓延を抑制することは、両生類の専門家にとって最優先事項でもある。 この取り組みでは、天然に存在するバクテリアで、カエルには致命的なこの病気に対する耐性を一部の両生類に与えていると思われるものの存在の確認と、この病気に耐性のない種に対する対処へのそのバクテリアの応用法の調査を重点的に取り扱うことになる。今までのところ、こういったバクテリアは少数の種からしか発見されていないので、このアプローチにはさらなる研究の必要がある。
この致死的な病気と戦う抗真菌薬、captive-bred(飼育下繁殖)およびtranslocation(移殖)個体群の耐性の調査、をすべて研究する必要がある。この同盟では、Madagascar(マダガスカル)といった新しい場所へのこのカビの拡大を阻止するための手段を研究することになる。Madagascar(マダガスカル)にはまだ両生類のツボカビが存在するという証拠が現れていない。
「人間は、両生類から非常に多くのものを得られるのです。」と、Simon Stuart(IUCN Species Survival Commission議長でAmphibian Mini-Summitの主催者)は語る。
多くの両生類にはその皮膚に、多くの人間の病気に立ち向かうための潜在力を持つ化合物が蓄積されています。しかし、その機会は、カモノハシガエル絶滅のように、失われつつあります。もしもカモノハシガエルが絶滅していなかったらヒトの消化性潰瘍の薬の開発をもたらしていたでしょう。我々は、絶対に、この現在の両生類絶滅の危機を野放しにするわけにはいきません。」
新しい同盟では各パートナーと連携して、2010年(国際生物多様性年)に両生類保全行動計画を履行し、両生類の認知度を高めることになっている。
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