ハイテク化する密猟者 インド
2009年6月16日 インド時間17:29分
The Economic Times
翻訳協力:石田美緒 校正協力:津田和泉
ニューデリー
ネットワーク空間を野生動物取引の容易なルートとして使用するハイテク売人が増えつつあるが、インド当局は一刻も早くこの脅威を認識し、抑制するための監視を実施しなければならないと専門家は指摘している。
インコ、クジャク、カメ、そして最近では絶滅の危機に瀕しているフクロウの一種が、先週インド・ケララ地方Thrissur(トリス)で密猟者と二人の協力者によって捕獲され、ネット上で取引されていた。
この密猟者はネット上にフクロウ販売の広告を載せ、偽装電話番号や国際ネットワークを使用して監視当局を混乱させていた、とWildlife Trust of India(インド野生動物協会)副会長のAshok Kumar氏は言っている。 Wildlife Crime Control Bureau(WCCB:インド野生動物協会は野生動物犯罪監視局)とケララ森林省監視班の密売者逮捕に協力している団体である。
ネット上の広告では、「シルバーフクロウ」のタイトルで写真が掲げられ、「非常に珍しい種類」とのメモがつけられていた。
「誘いに乗った客と売人は当初電子メールで連絡し合っていましたが、交渉の次の段階に入ると、売人はハイテク機器を用いて様々な国番号を使って偽装した電話番号で客に連絡し、彼らの拠点が特定できないようにしていました。
実際、売人の情報を明かしていないこのネット上の広告は、ドバイで投函され、当局の手の届かないように細工されていました。」とKumar氏は述べた。
専門家によると、国際市場ではフクロウの需要が高まっており、一羽約580,000円から960,000円(1ルピー = 1.928648円、1Lakh=10万ルピー:2009年10月10日現在)で売れるという。
「メンフクロウはごく一般的な種類だが、インドでは売買は違法です。フクロウは黒魔術に使われたりペットとして飼われたりしてます。売人はだまされやすい購入者たちから大金を奪っているのです。」とKumar氏は語った。
今回のようなインターネットを使った事件はインドでは今回が2度目で、1度目は昨年Orkutや一般的なネットワークサイトを使用し野生動物の不法取引を行っていたグループが、ウッタル・プラデーシュ州のMeerut(メールート)で逮捕されたケースであった。
アルビノのジャコウネコ、インコなど絶滅の危機にある野生生物、珍しいアルビノのジャコウネコは生け捕りにされて、中東やヨーロッパに送られてきたが、当局はこのハイテクを使った脅威にようやく具体的に対処しようとし始めたばかりだ。
「私たちはウェブ上の監視や、取引を取り締まる何らかの法律制定を政府に強く求めてきました。これら二つのケースは氷山の一角に過ぎないのです。」とクマールは述べた。
「ハイテク化する野生動物犯罪者によって、危機にさらされる絶滅危惧種もいます。それにもかかわらず、ネット上で行われている密売に関しては、当局からの積極的な追求がほとんどないのが現状です。」
http://economictimes.indiatimes.com/Flora--Fauna/Poachers-go-high-tech-/articleshow/4663167.cms
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