フィリピン政府当局、タンザニア・ダルエスサラームから密輸された象牙をさらに押収
2009年5月22日
THISDAY タンザニア・ダルエルサラーム
翻訳協力:福島絢子 校正協力:津田和泉
フィリピン税関職員はタンザニアからの密輸象牙、推定価格約9億円以上(100万ドル以上、1ドル91.28円:2009年10月23日現在)を押収した。
マニラ関税警察は3月1日にタンザニアから到着した成形機とされる積荷を検閲した後に発見したと語った。
検閲はその積荷の中身が不正申告されているという内部情報を基に行われた。
「コンテナを開けてみて、内部情報が真実だったいうことがわかりました。」フィリピンの関税警察署長であるJoey Yuchongco氏 は語った。「その積荷には実際に象牙が含まれていたのです。」
Yuchongco氏によると、関税警察はすでにフィリピン環境資源省と連携して押収した象牙の取り扱いについて調整しているとのことだ。
通常、このような象牙は彫像や置物、聖者のレプリカなどに使われている。カトリック教徒が多数を占めるフィリピンはこういった製品の大規模な市場となっている、とYuchongco氏は指摘した。
フィリピン関税局は現地の輸出業者がマニラ港経由でタンザニアから密輸しようとした象牙を差し止めた。
Yuchongco氏によると象牙は210 Enterprisesと確認されている輸入業者によって3月1日から港の南ハーバーに放置されていた20フィートのコンテナ車の中で、布袋の中に積み重ねられた状態になっていたという。
関税局はこのコンテナ車に不法貨物が積まれているという情報を受け取っていたとYuchongco氏は述べている。
この登録輸入業者は、このコンテナ車の積み荷をダルエスサラームから輸送されたブロー成形機だと申告していたという。
「しかし、先週、放置されていたこのコンテナ車を調べてみると、その申告は嘘で実は象牙を積んでいたということを突き止めることができたのです。」
象牙は宗教的彫像やピアノの鍵盤、その他の高級品を作るのに用いられる白い材質の主要原料と知られている。
Yuchongco氏によると、このような象牙の貿易および売買は国際的に禁止されているが、こういった禁止は通常、ゾウの乱獲を前提としているからだという。
今年の3月、ベトナムの関係当局も同様の象牙を大量に押収したと発表した。この象牙もまた、タンザニアから密輸されたものでその価値は約27億円(2,941万ドル、:1ドル91.28円:2009年10月23日現在)にも上るという。
ベトナム政府当局は国外から密輸された象牙6,232キロを競売にかけることを提議したが、タンザニア警察もダルエスサラームにある野生生物管理局もその委託貨物について何も知らなかった、と当時述べていた。
タンザニアから託送された象牙が外国税関職員によって大量に押収されたという最新報告は、一方で横行する象牙の国外への密輸がおさまることなく続いているということを明白に示している。
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