英国へのリクガメの密輸見つかり夫妻逮捕
2009年7月18日 Telegraph.co.uk
翻訳協力:藤原レーシウ 志保 校正協力:津田和泉
警察は荷物の中に隠されていた7匹のリクガメを発見、持ち主二人は密輸の容疑で空港で逮捕された。
絶滅の危機にある生物を持ち込んだ可能性がある夫妻がいると報告を受け、警察官はスタンステッド空港で41歳の男性と42歳の女性を取り押さえた。
2人が逮捕された後、警察による家宅捜査が行われたロンドンの東、Walthamstow(ウォルサムストー)の容疑者宅ではさらに2匹のリクガメと毒蛇(アジアン・ピット・バイパー)が発見された。
今日未明、ギリシャ・コルフ国際空港から到着した2人が飛行機から降りると、そこには彼らを待ち受ける5名の警察官の姿があった。
手荷物から3匹のリクガメが、警察による荷物検査でさらにスーツケースから4匹が靴下に包まれた状態で見つかった。
このうち1匹は小さなバーバリーのバッグの中で動けないように黒い絶縁テープで固定されていた。
「動物が悲しんでいるのは見ただけでわかります。このリクガメは本当に惨めな表情をしていました。」。
エセックス警察部隊(Essex Police Force)の野生動物コーディネーターAndy Long巡査は言う。
「旅行代を稼ぐためにリクガメを持ち帰る人たちの存在は以前から知られていました。リクガメはブラックマーケットで7,450円から14,980円(1ポンド=149.80円9月16日現在)程度で売れるのです」
「このような密輸方法はリクガメにとって非常に過酷で、衰弱死してしまうことも珍しくありません。」
夫妻はおそらくこの小さい生き物を探してコルフ島中のビーチを練り歩いていたのではないかと彼は推測する。
Long巡査によると英国におけるリクガメの密輸入件数が増加したため、英国警察庁協会(ACPO)は違法取引の取締り強化を優先的に行う決断を下したとのこと。
「英国内でのこういった問題への対処は、本年度におけるACPO野生生物犯罪捜査課の最優先事項です」とLong氏は言う。
UK National Wildlife Crime Unit(英国立野生動物犯罪捜査機関)のBrian Stuart警部は以下のように述べた。「この種のリクガメに焦点を当てたのは、この絶滅の危機にある生物が組織的な犯罪行為により英国へ密輸入されるというケースが後を絶たないからです。」
「今回の一件は不法な収益を容易に手に入れるために犯人が関与した組織的な活動の存在を反映しています。」
ロンドン警視庁(Metropolitan Police)野生生物犯罪捜査課で捜査をコーディネートするDavid Flint警部はさらにこう付け加えた。
「絶滅の危機にある生物を世界レベルで保護し元来の生息地にとどめるためには、売買目的で保護生物の捕獲しようとする人たちを当局で厳しく取り締まることが重要です。」
「今日逮捕された2名の容疑者はあきらかに法律や、この国に到着するまでに味わったであろうリクガメの苦しみをないがしろにしていました。」
「私たちの任務は絶滅危機の生物種が消滅しないようにすること、このような違法取引を認めるわけにはいきません。」
今回保護されたリクガメは健康状態の評価を受けた後、コルフ島へ送還もしくは英国内に居住の地を得ることになる。
夫妻は容疑が確定すれば、禁固刑もしくは高額の罰金刑が科されることになる。
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コメント
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今回保護されたリクガメは健康状態の評価を受けた後、コルフ島へ送還もしくは英国内に居住の地を得ることになる。
投稿: tiffany necklaces | 2010年9月 6日 (月) 16時22分