科学捜査で対処 違法象牙業者の取り締まり
翻訳協力:加藤 哲子、校正協力:津田 和泉
2009年7月13日 WWF UK News
放射性炭素年代測定による科学捜査が最近、違法な象牙取引業者を捕らえるのに用いられるようになってきた。
古い象牙製品の売買は違法ではない。ただし、その象牙が1947年以前に採取されたものであればの話だ。
このため、製品が規定どおりの古いものだと強く主張し(あたかも古いものであるかのように見かけに細工までして)売りに出そうとする人々が次々と現れている。
これが抜け穴となり、違法な象牙取引が続いてきた。
これまで、動物の一部の古さを評価する方法は熟練した専門家による目視のみであり、犯罪の告発を成功させるには不十分なものであった。
しかし、放射性炭素年代測定という科学捜査による試験方法を用いることで、象牙製品が1947年という分岐点以前のものかそれ以降のものか、すなわち合法か違法かを証明できるようになった。
この科学的試験では、象牙に含まれる放射性炭素14のレベルを測定する。炭素14は原子爆弾実験が開始された1950年初頭から、自然界(およびあらゆる生物の体の細胞内において)急激に増加している要素である。憂慮すべきことだが、事実である。
このことから、1950年以降に生まれた動物はどれも炭素14の含有レベルが明らかに高いことが分かる。そして、例えばある象牙片が1947年以降のものだと分かれば、それが違法なものであることが同時に証明されるのである。
このような科学的証拠によって、違法な取引業者が訴追を免れるのは困難になるはずだ。さらにうまくいけば、密猟と不法取引という悪循環を断つことができるだろう。
2008年、The Forensic Analysis Fund(科学的捜査のための基金)が設立された。この基金は、野生生物犯罪を犯す人々を捜査し起訴するために必要な科学的捜査を行うために使われる。
この基金はWWF(世界自然保護基金)、TRACE(トレース、野生生物科学捜査ネットワーク)、RSPB(英国王立鳥類愛護協会)およびDEFRA(英国環境・食糧・農村地域省)によって財政支援されている。この基金がなければ、このような科学的試験は警察や税関の限られた予算の中で優先的に行われることはなく、起訴へ進むことも困難であっただろう。
WWFの情報収集イニシアティブは一般の人々に対し、イギリス国内もしくは海外において、野生生物の違法取引につながるような疑わしい活動があれば報告してほしいとのことである。
http://www.wwf.org.uk/news_feed.cfm?3159/Forensics-help-fight-ivory-fraudsters
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