ジンバブエでゾウにヘリコプター騒音被害のおそれ
BBC NEWS
2009年6月17日
翻訳協力:遠藤有美 校正協力:津田和泉
Victoria Falls(ビクトリア瀑布)の上空を飛行するヘリコプターの騒音が、ジンバブエに生息するゾウの群れに悪影響を及ぼす恐れがあると、環境問題専門家が警告している。
環境問題専門家によると、ジンバブエの政府高官は、観光用ヘリコプターの便数を現在の4倍に増やす計画を支持しているという。
ジンバブエの隣国である南アフリカで来年(2010年)、サッカーのワールドカップ南アフリカ大会が開催されるため、ジンバブエでは観光用ヘリコプターの便数を計画するなど、期待される観光ブームに便乗しようとする動きが広がっている。
政府の正式な許可は下りていないものの、新たなヘリコプター発着場の建設に向けてすでに作業が始まっている。
ジンバブエのFrancis Nehema環境大臣は、発着場の建設について環境影響評価が行われていない、評価が行われなければ発着場の建設計画は前進しない、と語っている。
環境大臣は、「相手が誰であろうと関係ありません。私たちとしては、環境評価が行われることを望んでいます。それが前提条件です」と述べた。
ジンバブエ人ジャーナリスト、Brian Hungwe氏によると、現在、ビクトリア瀑布の上空には常時、5機のヘリコプターが飛行しているという。
世界の絶景の一つといわれるビクトリア瀑布の上空からの眺めを求めて観光客が押し寄せているため、今後は20機前後のヘリコプターが常時飛行することになる、とHungwe氏は指摘している。
しかし環境問題専門家は、騒音公害がひどくなれば、ジンバブエに生息しているゾウの行動パターンに悪影響が及ぶと懸念している。
NGO(非政府組織)であるEnvironment AfricaのDeliwe Utete氏によると、ゾウが現在の生息地から逃げ出せば、野生動物や野鳥も含め、ビクトリア瀑布周辺の生態系全体に憂慮すべき影響が及ぶ可能性があると指摘している。
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