第58回ワシントン条約(CITES)常設委員会
ワシントン条約事務局プレスリリースより
翻訳協力:神田博美 校正協力:津田和泉
ジュネーブで2009年7月6日~10日に第58回ワシントン条約常設委員会開催、合法的象牙取引について評価を行う
ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)第58回常設委員会では、議論が分かれている象牙の合法的取引の結果について評価を行い、2010年に開催される第15回締約国会議の議題を策定する。
ボツワナ、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエの4カ国は2007年6月にハーグで行われた合意に基づき、ワシントン条約のWillem Wijnstekers(ウィレム・ウィンステカーズ)事務局長の監督下、2008年10月と11月に象牙の取引を行っった。
常設委員会では、173カ国が参加する締約国会議の開催期間外に、野生生物の国際取引に関する規約の履行を監督している。
この合法的取引をめぐっては、取引がゾウの密猟を阻止する活動の助けとなるか、妨げとなるかで意見の対立があり、論議を呼んでいる。
同委員会では、第14回締約国会議で概要が定められた戦略ビジョンについて検討が加えられる予定。この他、アジアにおけるトラ飼育、伝統医薬に使われるサイの密猟、アマゾン盆地で産出するマホガニー材の合法性、前立腺がんの治療に使われるアフリカンチェリーの取引基準などが議題にのぼるとみられる。
委員会には世界各国から約300名が参加する見込み。出席者には締約国や政府間機関、経済界、野生生物の保護と国際取引を専門に扱うNGOからのオブザーバーも含まれる。
今回の合法的象牙取引による収益の用途は限定されており、ゾウの保護活動、および生息域とその周辺の地域開発プログラムのみと定められている。この収益により、当該国の生物多様性の保全力増大、管理体制の強化、南部アフリカ農村部の人々の生活向上などが期待される。
取引は発送先一カ所につき一回のみの出荷で、相手国は中国と日本の二国のみ。両国における象牙の国内取引の管理体制は、条約がこの一回限りの取引に向けて定めた検証基準を満たしている。
2007年のアフリカ諸国の合意内容によれば、象牙の出荷後、取引完了と同時に開始される9年間の取引禁止期間中、輸出元の4カ国がワシントン条約に対し新たに取引を提案することは認められない。(2009年6月更新)
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議論の分かれる合法的象牙取引、ナミビアで落札総額108,900,000円(120万ドル:1ドル=90.75円:2009年10月14日現在)
http://edition.cnn.com/2008/WORLD/africa/10/28/ivory.auction/
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