絶滅に瀕したサイを守るために軍が行動開始
2009年4月29日 The Zimbabwe Times
(翻訳協力:松井佐絵 校正協力:津田和泉)
Owen Chikari記
ジンバブエ、マスビンゴ —— ジンバブエ陸軍(The Zimbabwe National Army)は、同国の自然保護区域に部隊を配備した。
ワシントン条約(CITES)締約国会議が、同国の首都Harare(ハラレ)市に対し、12ヶ月未満で80頭以上のサイの喪失を放置したと言われる件についての非難決議を検討していることが明らかになったためだ。
国立公園・野生生物管理局が同国の国立公園や自然保護区での野生動物の違法な殺害を阻止しようと戦う中で、ジンバブエは絶滅に瀕したサイを密猟者に奪われた。
国立公園・野生生物管理局の職員は昨日、一部の絶滅に瀕した種が密猟によって絶滅してしまうことを防ぐために、同局が軍の支援を求めたと述べた。
同局のある職員は「私たちはすべての自然保護区域、とくにワンゲ国立公園とゴナレゾウ国立公園に部隊を配備しました」と述べている。この人物は報道機関と話す権限がないため、名前を明かさないことを望んでいる。
「私たちは野生動物の違法な殺害を阻止するために戦ってきましたが、密猟者たちが十分な装備を持っていることが明らかになり、私たちだけでやる(当局だけで密猟者を規制する)ことが困難になりました」。
国立公園・野生生物管理局のMorris Mutsambiwa局長は、ハラレ市が非常に短期間で複数種の野生動物を密猟によって失ったとされる問題で、CITES会議による非難決議を受ける危険を冒していることを認めている。
Mutsambiwa局長は「私たちは、CITES会議による非難決議を受ける危険を冒しています。12カ月未満で80頭以上という非常に多数のサイを失ったからです」と述べている。
国立公園は政府の機関で、ジンバブエ国内にある9つの主要な公共国立公園と国土全体の野生動物を管理する責任を担う。その中には、政府の土地にいるのか私有地にいるのかに関わらず、全てのクロサイの所有権も含まれている。同国の主要な国立公園は、ニャンガ、チマニマニ、チザリラ、ゴナレゾウ、ワンゲ、カズマ・パン、マナ・プールズ、マツサドナ、ザンベジの9カ所だ。
ワシントン条約(CITES)では、条約に署名した締結国は、絶滅に瀕した種を保護し、その種の絶滅を確実に止めるために、同条約が定める一定の標準を満たさなければならない。
Mutsambiwa局長によれば、ジンバブエの自然保護区域に蔓延した密猟によって、ハラレ市はワシントン条約の条件の一部を順守することが難しくなったという。
ジンバブエ国内での密猟によるサイの殺害を阻止しようとする必死の試みの中で、国立公園・野生生物管理局によって、除角(角の切除)作戦が導入された。残念ながら、この作戦は失敗に終わった。密猟者は、除角されたサイも殺害し続けたからだ。
一方で、同局はマスビンゴの街の20km東にあるライオン牧場で飼育されている、16頭からなるプライド(ライオンの群れ)の世話を引き受けた。この土地の所有者であるMike Sparrow氏は、最近、退役軍人と疑われる複数の人物によって、立ち退きを強いられた。
Sparrow氏は、退役軍人と疑われる人物らによる嫌がらせを受けた後、ライオン牧場の事業を放棄して南アフリカに逃亡したと考えられている。同退役軍人らのうち一人は、その後、Sparrow氏の牧場内の家に移り住んでいる。
占領者たちはライオンの扱い方がわからなかったため、ライオンは何週間も世話をされずに放置されていた。
環境・天然資源大臣のFrancis Nhema氏は、既に、国立公園・野生生物管理局に対して、このライオン事業を引き継ぐように指示している。
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