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2009年5月15日 (金)

トラに刺激的な計画

 EurekAlert!

 2009年2月26日

(翻訳協力:倉橋夏子、編集協力:木田直子)

ニューヨーク:野生生物保護協会(WCS)は今日、世界銀行および地球環境ファシリティ(GEF)と共同で、全生息域のトラの保護活動に2800万ドル(約27億4千万円:1ドル=97.85円 3月29日現在)を充当することを発表した。WCSは、トラが生息しているアジア各国で実際に長年にわたりトラの保護活動を続けてきたいくつかの保護団体の協力を得て、Tiger Futuresと名付けられた新プロジェクトを率いる。

Tiger Futuresプロジェクトは、世界銀行グループのRobert B. Zoellick総裁が昨年6月に発表した世界トラ・イニシアティブ(GTI)に基づいて、初期の支援活動を行い、問題にすばやく対応できるようにする。世界トラ・イニシアティブには、トラ生息国間のコミュニケーションを促進し、トラ生息域における世界銀行プロジェクトの見直しをはかり、トラ保護のための新しいモデルを率先して立ち上げるなどの計画が含まれている。GTIはまた、密猟や違法取引の削減努力を強化し、保護活動のための新たな資金調達手段も探る予定である。イニシアティブの一環として、世界銀行は、2010年に開催されるトラ年サミットに向けて世界中のトラ専門家たちを集めた会議の招集を提案した。

Tiger Futuresプロジェクトは、トラ生息域にあるすべての国にトラ保護のための専門的な議論への参加を促すことによって、世銀によるイニシアティブを補足する。また、TRAFFIC、WWFおよびIUCNをリーディングパートナーとして、各保護団体に幅広く参加を求める。その他の活動として、野生のトラが直面する主な脅威のひとつである違法な野生生物取引を抑制するために、中国とベトナム双方の政府と緊密な協力体制をとることも計画されている。

「この協定は、生息域諸国と協力して世界で最も愛されている動物のなかの1つであるトラを救うために、世界銀行、GEFと保護団体の組み合わせというユニークなパートナーシップを実現しました」と、WCSの会長で最高経営責任者(CEO)のSteven Sanderson博士は評価する。「このプロジェクトは、実にタイミングよく発足したといえます。野生のトラの苦境は緊迫しており、いま残っているトラを保護するためには多くの最前線で今すぐ行動を起こすことが必要なのです」 

多くのトラ個体群の生存は、トラの生息域である諸国間の協力にかかっている。将来、長期にわたってトラの生存を確実にするためには、意見の一致が必要不可欠だ。

世界銀行グループのRobert B. Zoellick総裁はいう。「トラの保護に関する意見を一致させ、早期に適切な行動がとれるようにするための最初の1歩として、Tiger Futuresプロジェクトの発足は歓迎できるものです。プロジェクトでは、各国の保護団体が協力することの必要性を認識しています。また、多くのトラ個体群が生き残れるかどうかは、トラが住んでいる各国の政府がとる行動にかかっていることも理解しています」

GEFのCEO兼議長であるMonique Barbut氏の意見はこうだ。「トラの絶滅を防ぐための戦いは、世界中の生物多様性が直面しているのっぴきならない危機の象徴ともいえるでしょう。私たちはこの新たなイニシアティブでトラの保護に貢献する決意を固めていますが、同時に、絶滅が危惧されるすべての種とそれらの生存に必要な生態系にも目を向けるつもりです。健全な生態系は、開発途上国の農村地帯に住む住民にも、安定した暮らしと安全をもたらすのです。ですから、絶滅危惧種から始めて、最終的には、初期投資の範囲を大幅に超えた有用な成果を得ることができます」

今日の声明は、ニューヨークのロックフェラー大学で、WCSの著名な自然保護論者George Schaller氏の功績を讃えるシンポジウムで発表された。Schaller氏は、1960年代にインドでトラの研究を始めたパイオニアとして知られている。

トラはもともと、中央アジアのカスピ海からジャワやロシアの極東地域まで、アジアのほとんどの地域に生息していた。今では、かつての7%ほどの生息域しか持たないと推測されている。今日トラが見られるのは、南アジアと東南アジアでは分散した何か所かに限られ、ロシア極東地域と中国北東部には小さな個体群がいくつか残るだけである。生息域がこれだけ縮減した状態では、繁殖率が妥当なトラ個体群であっても、現在残されている生息地のおよそ10%を占めるにすぎないだろう。しかもこれらの生息地は、ほとんどが厳重に管理された保護区内にあるのである。これらの生息地から外に出たトラは、獲物不足により、または人間に狩られることによって、短期間のうちに姿を消す可能性が高い。

トラが直面する主な脅威としては、森林生息地の消失と環境の悪化、トラを獲物とする合法および非合法な狩り、それに、人間との摩擦や、毛皮や他の部位を東洋伝統薬の原料などとして密売するための密猟を原因とするあからさまな殺りくが挙げられる。

今も昔も、野生のトラの個体数は正確にはわかっていない。しかし、200年前には、野生のトラが地球上におそらく10万匹から50万匹はいたと思われる。今日の生息数は、飼育されている2300匹の成獣を含めて、およそ5000匹である。トラは、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されている。

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