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2009年3月20日 (金)

エリートヘリコプターからのハンティング

セントピーターズバーグ・タイムズ   Anna Malpas記 モスクワ
2009年1月27日 

(翻訳協力:山田茜、編集協力:松崎由美子)

今月初旬、政府高官らを乗せたヘリコプターが人里離れたアルタイ山腹に墜落し、乗客数人が死亡した事故は、当初は単に痛ましい死亡事故と思われていた。
 
しかし、事故現場のスナップ写真によって、ロシアの政財界の有力者の間で不気味なほどはやっていると自然保護活動家が指摘している娯楽、すなわちヘリコプターからの密猟という金のかかる遊びに注目が集まっている。
 
アルタイ地方のウェブサイトに掲載された1枚の写真には、1月9日に墜落したMi-171ヘリコプターの残骸の間に、絶滅の危機にあるアルガリの死骸が写っていた。そのうちの1頭の臀部にはナイフが突き刺さっていた。
 
このヒツジはロシアの最も稀少な野生生物のひとつで、これを狩ることは最高で禁固2年の刑に処される。この写真を見た生態学者らは直ちに、ヘリコプター墜落時に政府高官らが不法な狩りをしていたかどうかを調査するよう検察当局に強く求めた。

この事故で死亡した連邦政府、地方政府や現地の役人7人の中には、Viktor Kaimin氏が含まれていた。同氏はアルタイ共和国のトップ官僚であり、この地域の野生生物保護の責任者であるばかりか、彼が議長を務める委員会が狩猟免許の発行権限を持っている。
 
一部の生態学者や政治解説者が「アルタイゲート」と呼んでいるこの事件について、地方政府の環境当局者は状況を精査するよう強く求めるつもりだと述べたが、地方の検察当局は、役人らが不法な狩猟に関わっていたかについて正式な捜査は全く始まっていないと述べている。

役人らがアルタイ山地に狩猟旅行に来て、禁止されているにもかかわらず、ホバリングするヘリコプターからいとも簡単に動物を射ち殺していることは公然の秘密であると、自然保護活動家は言う。

人里離れた山地ゆえに手付かずのゴルニアルタイ地域はハンターに人気があり、シベリアアイベックスとアカシカの狩猟は一部の地域で合法とされている。

「この10年間で、アルタイ山地はヘリコプター・ハンティングがかなり一般的に行われるところになってしまいました」と、WWF(世界自然保護基金)ロシア支部の動物密売阻止プログラムの責任者Alexei Vaisman氏は述べた。

アルタイ政府の女性報道官Yelena Kobzeva氏がインターファックス通信社に語ったところによると、この死出の旅となった狩猟に出かけた役人らはシベリアアイベックスやアカシカの狩猟免許を持っていたという。しかし、AltaPress.ruのウェブサイトに掲載された写真には、丸く曲がった角のある動物がはっきりと写っていた。シベリアアイベックスであれば角は長く、少ししか曲がっていない。

生態学者らが指摘しているアルタイ山地事故現場の死骸はアルガリである。

Vaisman氏の組織は、グリーンピースや他の環境保護団体と共に調査を要求しているが、WWFロシア支部では「誰にも血を流して欲しくない」と考えていると、同氏は述べた。

「誰かを刑務所に入れたいと思っているわけではありません。我々の活動の主な目的は、何が起きたのかについて公式な法的評価を裁判所に行わせたいということです」と続けた。

ロシア下院の大統領全権代表Alexander Kosopkin氏、大統領府の高官Sergei Livishin氏も墜落事故の犠牲者であった。

生存者には、アルタイ共和国副首相Anatoly Bannykh氏やロシア下院経済政策委員会のアドバイザーNikolai Kopranov氏が含まれていた。

歯に衣着せぬ物言いで知られるOleg Mitvol連邦自然利用分野監督庁副長官は、ゴルニアルタイが「VIPハンター」を引き寄せるのだという。「あそこにはヘリコプターでしか行けない特別なロッジがあるんです。豪華なロッジですよ。あそこに泊まったらいくらかかるか、まあ、想像してみたまえ」と続けた。

環境保護活動家は、ヘリコプターでの狩猟旅行は地元の役人の知識と協力なしにはできないという。

Vaisman氏によれば、地方官僚が連邦政府高官を無料で狩猟旅行に連れて行く接待は「かなり日常的に」行われているという。それは賄賂ではなく、良い関係を築くため、連邦中央政府から地方に追加資金を出させるためのものであるという。

下級官僚もしばしば狩猟旅行の準備に関与している。州の猟区管理者の給料は「微々たるもの」で、月2730円ほど(1ロシアンルーブル=2.73円、2009年2月27日現在)だとVaisman氏は言う。

このようなヘリコプター・ハンティングはカムチャツカ地方、マガダン州、サハリン州、プリモーリエ地方で行われているとVaisman氏は述べた。「ヘリコプター・ハンティングは、高級官僚やいわゆる新ロシア人と呼ばれる人々の間ではやっていて、彼らは、自分達には法は適用されないと考えているのです。」

狩りの標的はオオツノヒツジ、シベリアビッグホーン(スノーシープ)、シロイワヤギ、クマ、ヘラジカなどだろうとVaisman氏は言う。ヘリコプターから直接銃を撃ち、そのあと戦利品を取りに地上に降りるのだという。
 
アルタイ共和国政府の報道官Kobzeva氏が、サンクトペテルブルグ・タイムズの姉妹紙であるモスクワ・タイムズに電話で語ったところによると、今月初旬に事故に遭った役人らの旅行はプライベートであり、その費用を地方予算から賄ったということは一切ないという。誰がその旅行を手配し料金を支払ったのかについて、政府は何の情報も持っていないとのことだ。

ヘリコプター・ハンティングは自然保護区の中であっても行われているとMikhail Paltsyn氏は言う。ロシアのアルタイ・サヤン生態地域生物多様性保全と呼ばれる国連環境監視プロジェクトの科学者である同氏は、「ヘリコプターからの狩猟は普通、シベリアアイベックスやアカシカを狙ってシャブリンスキー自然保護区のアルグト川渓谷で行われていますが、そこでの猟は全面禁止になっているのです。私たちがアルグト川渓谷へ遠征するときには、まず必ずといっていいほど狩猟中のヘリコプターを目撃しますし、そのような狩りの痕跡が見つかります。地元の住民はハンターを乗せたヘリコプターが毎月来ていると言っています」とe-mailでコメントした。

昨年2月には、自然保護活動家らが2日連続して、旋回するヘリコプターから明らかにシベリアアイベックスやアカシカに発砲しているのを発見したため、番号を書きとめ猟区管理者と警察に通報した。「猟の当事者は分からずじまいです。国民の公僕が相変わらず猟をやっていたようですね」とPaltsyn氏。

ヘリコプターを雇う費用は1時間何万円もするとAnatoly Mozharov氏は言う。ハンター向けの狩猟雑誌の編集者である同氏は、しかし合法的なハンターは遠隔地までの移動にヘリコプターを使うが、猟は地上に降りてからするということを強調した。

ロシアでは保護動物の殺害は最高で禁固2年の処罰が下る犯罪だ。しかし、これまでに有罪判決を受けた密猟者は比較的少ないと、当局者や環境保護論者は言う。

「環境保護に関する犯罪についての捜査はこれまでほとんど行われていません。去年は実際に1件もありませんでした。残念ながら、多くのVIPハンターが、自分達を敵に回す犯罪捜査は決して開始されないだろうということを計算に入れているのです。」とMitvol氏は語った。

ロシア検察庁報道官によれば、昨年捜査された不法狩猟の件数や有罪判決が下りた密猟者の人数について、使えるデータはないとのことだ。

不法狩猟は「証明することが極めて困難」であるため、有罪判決が下されることは稀である、とロシアのアルタイ・サヤン生態地域生物多様性保全の責任者Alexander Bondarev氏は述べた。

同氏によれば、山中でヘリコプターを見た人がいても、どの動物が撃たれたのかを明らかにすることは不可能だという。また、ゴルニアルタイでは、大抵のハンターがシベリアアイベックスの狩猟許可を得ているうえ、このヤギの生息地が絶滅危惧種のアルガリの生息地に接近しているために、ハンターが野生の羊(アルガリ)ではなくヤギを撃っているのだと言い張るとことができるという。 

「唯一の可能性は動物の近くにいるハンターを見つけることですが、その動物を殺したことを証明するのは非常に難しいのです」とBondarev氏は述べた。
 
Bondarev氏の組織は、写真の動物がアルガリだと特定する声明を最初に出した組織のひとつだ。この組織は、ロシアで絶滅危惧種のリストに記載されているアルガリとユキヒョウの保護に的を絞って活動している。

アルガリはこの地域で最も稀少な種のひとつであり、ロシアにおける個体数はわずか数百頭にすぎない。

アルガリは世界で最も大型の野生の羊である。その巨大な、湾曲した角は50キログラムほどもあり、トロフィーとして珍重されている。

ヘリコプターの墜落地域はロシアで最大のアルガリの群れの生息地である。アルガリはモンゴルとロシアの間を定期的に移動しているため、何頭が生存しているのか知るのは難しい。冬季は100~150頭、夏季には400頭にもなるのではないかと、Paltsyn氏は述べた。

「アルガリにとって最大の脅威は密猟で、地元住民によるものや、娯楽やトロフィー作りために外部から来るハンターによるものです」とPaltsyn氏は述べた。

Bondarev氏によれば、ロシアで年間何頭のアルガリが不法に殺されているのかは不明であるという。氏の推定では年間6頭程である。

墜落事故で死亡した環境省の役人Kaimin氏は、アルガリ猟を目撃されたとの噂が立ち、2003年にスキャンダルに巻き込まれた。アルタイ共和国の国会議員らはこの事件を捜査するよう検察当局に要請したが、後にこの訴えは取り下げられた。

http://www.times.spb.ru/index.php?action_id=2&story_id=28107

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