ミャンマー、トラなどネコ科動物の身体部位を公然と販売
翻訳協力:梅村 佳美、編集:戸川 久美
2008年10月15日 TRAFFIC News
野生生物取引監視団体TRAFFICは、野生生物を売買するミャンマーの市場数か所において12回にわたる調査を行い、野生のネコ科動物約1200頭分の皮や骨、歯、爪を発見した。これには少なくとも107頭のトラや、ミャンマーのネコ科動物の在来種全8種が含まれている。
ここ15年間の不定期調査では、野生のネコ科動物の身体部位が全部で1320個記録されており、これは最低でも1158頭分であることを示している。
「約1200頭が記録されているといっても、これは単なる氷山の一角にすぎないのです」とTRAFFIC東南アジア局プログラム担当のChris Shepherd氏は言う。
「ネコ科動物の身体部位が商品として公然と陳列されていて、販売業者は違法取引であることを全く隠しもしません。これは深刻な取り締まり不足のあらわれです」
こういったネコ科動物の部位を購入する客は、主に近隣国の人々である。これは市場の場所が大いに関係しており、調査を行った4か所のうち3か所が中国とタイの国境に接している。商品の金額は、タイや中国の通貨、およびアメリカドルでも記載されていた。
「約4000頭しか残っていないトラを含め、絶滅の危機に瀕しているネコ科動物の身体部位を販売はミャンマーの法律違反であり、許されることではありません」と世界自然保護基金(WWF)インターナショナルの種の保存プログラム責任者であるSusan Lieberman博士は言う。
「このような種の大部分は個体数がとても少ないので、こういった取引の供給源となっている密猟が多いと持ちこたえられないでしょう」
ミャンマーの法令では、完全に保護されているネコ科動物の種の数を把握しきれていないが、少なくとも5種は保護されている。在来種には、トラやヒョウ、ウンピョウ、マーブルキャット、アジアゴールデンキャット、フィッシングキャット、ベンガルヤマネコ、ジャングルキャットがおり、このうち5種は、国際取引を禁止するワシントン条約(CITES)(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)の付属書Ⅰに掲載され国際取引は禁止されている。ミャンマーは1997年からワシントン条約に加盟している。
Shepherd氏は、「ミャンマーは驚くほど多様性豊かな野生生物の宝庫です。しかし、このような市場を閉鎖するための迅速な行動と、保護されている野生生物の取引関与者の告訴が極めて重要です」と述べた。さらに氏は、法の強化や、タイや中国をはじめとする近隣国との国境を超えた一層の協力が必要だと付け加えた。
ミャンマーは、ASEAN野生生物執行ネットワーク(ASEAN-WEN)のメンバーであり、このネットワークは地域での国境を超えた野生生物の違法取引をなくすことを目的として連携している。
この調査結果は「ミャンマーにおける野生のネコ科動物とその身体部位の取引」に発表された。
http://www.traffic.org/home/2008/10/15/tiger-and-other-cat-parts-on-open-sale-in-myanmar.html
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