警告: バイオ燃料のため、ケニアの肥沃なタナ川デルタ湿地が生態学的な荒地に変えられる恐れ
気候の箱舟-Ecological Internet(環境保護サイト)のポータルサイト 2008年7月22日
協力: ドイツの環境NGO Rettet den Regenwald e.V.(熱帯雨林保護)
(翻訳協力:日原直子・編集協力:佐藤良子)
汚染をもたらす砂糖の単一栽培のために生態系を破壊することは倫理的にもとるとケニア政府に訴え、国の環境保護法に従い、永久にこの計画を取り消すよう要求するべきである。
ケニア政府は先ごろ、世界的に重要であり生態学的に影響を受けやすいタナ川デルタのおよそ2万ヘクタールを、砂糖及びバイオ燃料の生産のために破壊する計画を承認した。13万ヘクタールに及ぶ湿地に広がる多様な川辺の植物、森林、湿原、砂丘、海浜そして海洋は、汚染をもたらすサトウキビ単一栽培の広大や畑やバイオ燃料の工場により永久に変えられてしまうことになる。この計画により、鳥類やライオン、カバ、巣ごもり中のカメ、ゾウ、サメ、爬虫類、そして世界的に絶滅に直面している25種類の霊長類の1つ、ボウシマンガベイを含む350の種が脅かされている。
ケニア最大の製糖会社であるムミアス製糖会社がこの計画の51%を所有している一方、残りのほとんどは国営のタナ・アッシ川開発当局により所有されている。タナ川デルタの生態系と複雑に絡み合った関係の中で生活する地元の人々は、概して製糖工場には反対である。灌漑はタナ川デルタに猛烈な排水を引き起こし、乾期の間、地元の農民は家畜に与える水に窮することになるだろう。ケニア湿地フォーラムはケニア政府に対し、この計画への承認を取り消すよう要求している。「バイオ燃料や砂糖が必要だからと言って湿地をだいなしにはできない。」と、ケニアのノーベル平和賞受賞者であり環境保護論者であるWangari Maathai女史は述べた。
自然の生態系は、地域及び世界の人々が環境を破壊することなく資源利用を持続するために不可欠である。しかし世界各地におけるバイオ燃料生産により、生態系の破壊は進んでいる。気候変動の救済策として歓迎される一方で、バイオ燃料の生産のために起こる自然環境破壊は、二酸化炭素を削減するよりも増加させる場合がほとんどである。。砂糖などの食物を燃料に使用することにより、食物の価格が上昇し、その結果ケニアを含む世界各地で暴動が起こっている。汚染をもたらす単一栽培のために生態系を破壊することは倫理的にもとるとケニア政府に訴え、国の環境保護法に従い、この計画を永久に取り消すよう謹んで要請する必要がある。
http://www.climateark.org/shared/alerts/send.aspx?id=kenya_tana_biofuel
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