蔓延するホシガメの密輸
翻訳協力:伊部 有希子、編集協力:石井 紀子
merinews CJ Laila Rajartnam 2008年8月8日
インドホシガメは、国際市場で取引されている品々の中で、最も価値の高いものであり、高い収益力があるため、違法取引が行われている。ホシガメの所有・売買は、法律で禁止されており、現在は絶滅の恐れはないが、将来的には絶滅の危機に陥るとされる品種である。
「インドのスター」である、非常に小さくてかわいいホシガメは、国際ペット市場ではもっとも価値がある。このカメは、海外市場特にアメリカやヨーロッパ諸国で高値で取引されるため、違法業者の標的になっている。野生の爬虫類を採取してそれを中間業者に渡している「shikaris」と呼ばれるインドの猟師がホシガメを売っている。そして中間業者から密輸業者にホシガメが渡り、主にマレーシヤやバンコクに密輸出される。そこから海を渡り、アメリカやヨーロッパ諸国に運ばれる。ホシガメの値段は非常に高く、シンガポールのペット市場では2920円(1ドル=73.31円 2008年9月18日現在)、アメリカやヨーロッパの市場では15750円(1ドル=105円 2008年9月18日現在)ほどする。
8月上旬、税関職員によって、大量のホシガメをチェンナイからバンコクに密輸出する企てが阻止された。バンコクに向かう飛行機の乗客から、151万円(1ルピー=2.27円 2008年9月18日現在)相当の、950匹のホシガメが押収された。数か月前にも、チェンナイ国際ターミナルの税関職員が、クアラ・ルンプール行きの飛行機の26歳のスリランカ人乗客から、235匹の生きたホシガメを押収した。このカメは、野生生物保護団体職員に引き渡され、ハイデラバードにあるネール動物園に保護された。ムンバイでも、鉄道乗客からホシガメが押収される事件が起こった。密輸は手荷物を利用するのが主流のようだ。そのため、国際空港での荷物検査の強化が叫ばれている。毎年およそ3000匹ものカメが、国際市場の違法取引から押収され、保護されている。国際空港でのカメに対する警戒と押収が増加したため、船による密輸が行われている。密輸業者は、10-15日間餌を与えなくても生きていけるホシガメの生命力を利用して、船による密輸を行う。
ホシガメは甲羅の放射状の星型模様がとても美しく、サイズはメスが25-31cmでオスが15-21cmと小さく、体重は15-250g、 寿命は長いもので35年。 孵化にかかる日数は47-178日で一度に1-10個ほどの卵を産む。この非常に小さいカメは、タミル・ナードゥ州のラーマナータプラムやカルナカタ州のコーラル・アーンドラ、プラデーシュ州のチットウールといったインド南部に主に生息している。
ホシガメはペットコレクターに人気が高いだけではなく、中国では医療目的に使われる。小さくて星型模様があるカメはペットとして飼われるが、大きいカメは漢方の必須成分として使われ、また重要なエネルギー源として食用にもなる。密輸はホシガメの繁殖期の7-8月がピークである。巣作りは季節風が吹くときに行われ、インド南東部では10-1月と3-6月が産卵期である。
ホシガメは1973年以来「絶滅の危機に瀕した種の法」(ESA)によって保護されているため、インドでは所有も売買も禁止されている。現在は絶滅の恐れはないが、将来的には絶滅の危機に陥るとされている品種である。
トラやライオンの密猟は広く懸念されているが、それと同様ホシガメの密輸業者間にも、強い組織的ネットワークが存在しているのだ。ホシガメの美しい模様は、乾燥した生息地では身を隠す役割がある。皮肉なことに、その美しい色彩と模様に魅せられ、世界中のペットコレクターがホシガメを飼っている。またホシガメは幸福をもたらすと言われているため、ペットとして飼う人がいる。
http://lifestyle.merinews.com/catFull.jsp?articleID=139011
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