フォト
無料ブログはココログ
2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

にほんブログ村

  • にほんブログ村

« コンゴのシロサイ、絶滅の瀬戸際 | トップページ | アフリカで繁殖するアメリカザリガニ »

2008年8月 1日 (金)

トラを野生へ

飼育繁殖施設にトラを収容しておいても、誰にもメリットはない。そのうえこのカリスマ的肉食動物であるトラがいないことには、自然環境はより貧相になってしまう。

guardian.co.uk Vivek Menon記 2008年6月25日

Kirk Leech氏は、インドは中国を模範として、現在生存しているトラを商業目的の飼育繁殖施設に収容しておくべきだと主張している。しかし氏は、NGO団体や国際連合、世界銀行やグローバル・タイガー・フォーラムに支持されている国際世論に相反した神話を言いふらしているだけだ。その国際世論とは、トラを適切に保護するには、トラの野生での生息環境を守ることや、肉食動物の頂点に君臨するトラたちを人間による殺戮取引から守ることに重点的に取り組む必要がある、というものである。

Leech氏がおもに主張しているのは、インド政府を含め自然保護活動家は国民をなおざりにして野生のトラを保護している、ということだ。しかし「一般的な保護方法はもはや機能していない」という彼の批判は、ジム・コーベット国立公園でトラの生息数が急増したという成功例によって否定された。現在国立公園では100平方キロメートルあたり22.5匹のトラが生息し、これは世界中でもっとも高い数字を誇る。

トラは彼らが生活している場所での生態系保全において、極めて重要な存在だ。トラたちは餌となる動物の生息数を抑制し、地域にある飼育繁殖施設でシカやアンテロープ、バッファロー、イノシシ、インドヤギュウが増えすぎないようにする役割を担っている。そして特にネパールやインドの国立公園や自然保護区の多くで、野生のトラは観光客への最大の呼び物であり、地域社会にとって切望される財源となっている。もしトラがいなければ、保護地域の多くは全く存続していなかっただろう。こういったことは、信用性の高いエコツーリズムの収入や飲用水のような管理の行き届いた生態系サービスを通じて、地域社会と同様、多種多様な動物にとっても利益となっている。

急激に人口が増加したことにより、トラの自然生息地が過去に生息していた範囲の7%にまで激減し、分散されているという、ほとんど議論されることのなかったこの事実を含めた証拠をもってすると、「窮状にあえぐ国民の土地」を利用したジム・コーベット国立公園の「侵略行為」に対して非難することが誠実な行為であるとは言い難い。金魚鉢のようなところに押し込められている動物がいるとしたら、それはトラである。それに公園を拡大するという案などは存在していない。確かに国立公園や自然保護区のいくつかは領域内にトラの集落を設けているが、ジム・コーベット国立公園はそのようなことはしていない。

「トラを売ってトラを救え」という根拠のない議論に話を戻すと、Leech氏は飼育されたトラはいつか、トラそのものの「新しく改良された版」のような存在として、絶滅した野生のトラに取って代わることができると述べている。しかし悲しいことに現実には、野生に戻ることに成功したトラは今までにいない。そのうえ、そのようにトラを差し替えることは市場の需要を煽り、密猟を促し、トラの違法売買を助長することになる。その差し替えのためにトラを飼育するのにはUSドルで何千ドルもかかってしまうため、わずかな弾丸費と運搬費で野生のトラを射殺できる密猟者や違法取引人をさらに鼓舞することになるのである。

Leech氏は取り合っていないが、世界中の思いやりある人びとに共感されている重要なテーマがある。トラやすべての野生生物には、現代の経済が彼らに取りつけた値札とは関係なく本来の価値がある、というものだ。しかしこの考え方に賛同できないとしても、飼育繁殖施設に押し込められたりするといった、わずかな人びとの利益にしかならない不必要な残虐な行為からトラが免れることを要求するのはそう難しくはない。

野生でトラが生き残れるということは、管理が行き届いているということだ。その管理がうまくいくか失敗に終わるかといった結果は、種の絶滅を防ぎ、環境維持を確実にするという第7千年紀の開発目標を達成するための私たちの地球規模の取り組みの結果を示すことにもなる。

カリスマ的な大型肉食動物であるトラはまた、種の保全と生息環境に対するシンボル性を持つ。トラのように広く愛され、人びとに感銘を与える種を私たちが保護することができないのなら、人類と動物にとってより良い世界を築くことへの希望などあるのだろうか。

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/jun/25/wildlife.conservation

(翻訳協力:ジョーンズ有香・編集協力:佐藤久美子)

« コンゴのシロサイ、絶滅の瀬戸際 | トップページ | アフリカで繁殖するアメリカザリガニ »

02 トラ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: トラを野生へ:

« コンゴのシロサイ、絶滅の瀬戸際 | トップページ | アフリカで繁殖するアメリカザリガニ »