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« スマトラ島北部メダンで、政府職員が野生生物の違法売買に関与 | トップページ | 世界銀行のトラプロジェクトにブーイング »

2008年8月 1日 (金)

『A tiger in your bank』

てDOWN TO EARTH VOL 17 NO 2 *K Ullas Karanth記 2008年6月5日

序:世界銀行が、かつてのエクソン社のキャッチコピー「Put a tiger in your tank」(タンクにトラを入れろ)を採択した。報道によると、世界銀行はRobert Zoellick総裁の主導の下、トラ救済に向けた新しいグローバルなイニシアティブを発表する予定である。ワシントンDCでは6月9日、複数の国際保護団体との共催で、その名を冠したトラのイベントが行われる。これまで最高機関が野生生物保護にこうした関心を示すことはほとんど無かったため、世界銀行の内外で興奮が高まっている。

自然保護NGOの多くは、この世界銀行のトラのイニシアティブを、世界銀行の開発プロジェクト(ダム、高速道路、採掘)が野生生物の生息地に及ぼす破壊的な影響に対して予防措置をとるための良い機会だととらえている。また、世界銀行(及びその関連組織である地球環境ファシリティ、GEF)は、トラの身体部分の強欲な国際取り引きの阻止を中国にテコ入れすることができると期待する声もある。さらに、野生のトラ救済に注入される資金が増えるとする見方もある。

一方、懐疑派の人々は、このトラのイニシアティブを宣伝策略だと考えている。世界銀行はうわべだけの環境保護活動をしながら、経済成長期にあるインドや中国に有利な貸付をしたいだけではないかと疑っているのである。

否定:世界銀行はこれまで、自身の開発プロジェクトが生息地に損害を与えたことを概して認めていない。しかし、この機関が今になって、過去の罪に対する後悔の念を公に表明するとは考えにくい。

これは世界的なトラのイニシアティブであるが、世界銀行が信頼性を維持するためにはインドの関与がどうしても必要である。数々の問題はあるにせよ、インドには約1,500頭の野生のトラが生息している。中国に残っているトラはわずかであり、国内取引は現在も禁止されているものの、捕獲された5,000頭は殺されるのを待っている状態である。

その結果、インドに対し、世界銀行のトラ保護支援を要請するよう迫る密かなキャンペーンが存在する。関係者はインド政府に対して、世界銀行の召集力やトラの保護に関する専門知識、そして革新的なビジネスモデルを餌としてちらつかせている。

インドのトラを守る保護運動家たちは、世界銀行を心底嫌っているのではない人たちでも、インド政府と自然保護NGOの支持を同時に得ようとしていることを警戒している。 世界銀行がそのモデルの焦点をトラに合わせて、保護と開発を混成させようとしたとき、一体何が起こるのか彼らが不安に思うのも無理はない。

ナガラホールの混乱:私の研究地域であるナガラホール(インドにおけるトラの優良な生息地の1つ)で、10年前に繰り広げられたことは、世界銀行が介入すると何が起こりうるのかを示すよい例である。世界銀行とGEFが共同で資金援助したインドエコ開発プロジェクト(IEDP、1997~2003)では、保護区のマネージャの保護能力の強化、地域社会が及ぼす悪影響の縮小、そして地域社会による野性生物保護の支援の誘導、という立派な目標が掲げられた。これらの目標は、通常の保護の予算の約8倍に相当するおよそ91億円(1ルピー=およそ2.5円 2008年8月1日14時15分現在)をかけて、5年間で達成される予定であった。資金は、保護区の担当者やコンサルタントを経由して提供されることになっていた。

明言しておくが、私はこのプロジェクトに反対であり、このプロジェクトには巧妙な言い回しの裏にむき出しの金銭欲が隠れていることを指摘しており、次のような否定的な結果も予測していた。
1.巨額の資金が官僚制度内の腐敗分子を惹きつけるため、保護は崩壊するだろうということ。
2.十分な能力を持たない保護スタッフの関心が、有利な開発事業や生息地管理に移るだろうということ。
3.提案されたコンサルタント計画からは、信頼できる教育、監視、または研究は生まれないだろうということ。
4.公平で自発的な移転プロジェクトによって公園内の人口密度を減少させる、という緊急かつ重要な必要性がなおざりにされるだろうということ。
5.巨額の投資にもかかわらず、このプロジェクトは地域社会の支援を強化するものにはならず、野生生物と生息地に損害を与えるものになるだろうということ。
残念ながら、私の指摘は正しかった。

腐敗した組織:このプロジェクトの問題の根源は、その構造にあった。エコ開発は、完全に誤った生態学的及び組織的な状況下で、保護と開発とを混成しようとするものであった。 森林官やコンサルタント、また一夜にして急増した市民団体といった利己的なネットワークを通して、このプロジェクトによる大金が投入されたのである。保護運動家たちの不安は無視された。

ワイルドライフ・ファーストというNGOの活動家であるAjjinanda Poovaiah氏はこの危機に対し、十分な調査を行ったうえで、2003年2月、Karnataka Lokayukta(カルナタカ州のオンブズマン)に苦情を申し立て、プロジェクト下で行われた公務員の腐敗と不正を訴えた。彼は、ナガラホールにおけるトラや象の取引を行う密猟者の侵入、不法な伐採の復活、不必要な介入が生息地に与えた損害、そして資金の不正利用の明らかな証拠を提示した。

インド最高裁判所の元裁判官であったオンブズマンは、原告の協力の下に詳細な現地調査を行った。この調査と関連職員の取り調べから、ナガラホールにおける森林保護は、プロジェクトの期間中に事実上崩壊していたことがわかった。1999年には、大火事によって9,000ヘクタール(公園区域の15%)が燃焼した。2002年には殺された象の数が新たなピークに達しただけでなく、プロのトラの密猟者が中央インドから侵入していた。少なくともおよそ13億円(1ルピー=およそ2.5円 2008年8月1日14時15分現在)に相当する12,000本の材木用樹木が伐採され、密輸された。自然生息地は破壊へと導かれ、その典型的な例として、およそ1億7000万円(1ルピー=およそ2.5円 2008年8月1日14時15分現在)をかけて竹の茎に化学肥料を与えるという浪費が行われた。村のエコ開発という名の下で、腐敗がはびこっていた。オンブズマンの報告書によると、損失総額は、一部の実例に基づくものだけで推定でおよそ15億円(1ルピー=およそ2.5円 2008年8月1日14時15分現在)にものぼる。政府もこのひどい悪評を無視することはできず、ナガラホールのプロジェクトを途中で終了したため、世界銀行は大恥をかくこととなった。現在、あらゆる階級の多数の森林官が、オンブズマンの告発に基づく訴訟に直面している。

世界銀行の無能なスタッフとコンサルタントによって、プロジェクトの計画と評価は茶番に成り下がった。「プロジェクト・タイガー」の元ディレクターP K Sen氏は、プロジェクト資金の45%はコンサルタント料と世界銀行の諸経費に使われたと見積もっている。5年が経過した後、コンサルタントが作成したばかばかしい自己満足の記録映画‐そして、不法に伐採された木の切り株と森の中の漂白された象の骨‐を除いて、疑うことを知らないトラに世界銀行が押しつけた専門知識と革新的なモデルを示すものはほとんどない。

世界銀行は、これはナガラホール特有の失敗だと弁明して非難を一蹴し、世界銀行の保護政策は他のIEDP地域ではうまくいっていると主張するだろう。しかし、この兆候からでも、同様のことが他のいたる所でも起こったことが伺い知れる。

2006年のインド会計監査局の報告書は、特にバクサ、ギル、ペンチ、ナガラホールの保護区で行われた30億円(1ルピー=およそ2.5円 2008年8月1日14時15分現在)にものぼる不正について言及し、このプロジェクトを厳しく批判した。

この大儲けに加わることを拒否した正直な森林官は、ランタンボールを追い出された。野生生物保護協会のSanjay Gubbi氏の調査によると、IEDPの象徴であるペリヤーのプロジェクトでさえ順調というわけではなく、プロジェクトの期待に反して人間が及ぼす悪影響が増加しているという。

空虚な主張:保護に対する公的支援が増加したことを示す証拠はほとんどない。ポンディシェリ大学のArjunan氏が行った、カラカド‐ムンダンスライにおける世界銀行の別のプロジェクトの評価でも、同じ傾向が示されている。したがって、世界銀行の主張する、トラ保護に向けた特殊な専門知識は、少々空虚に響く。

世界銀行のトラのイニシアティブについて、政府は広く意見を聞いて真剣に検討する必要がある。前回IEDPが来たときと比較すると、少なくとも1つ変化があった。それは、堅調なインド経済のおかげで、今では巨額の国際融資に頼らなくても、インドには国の動物を救う金銭的余裕があるということである。首相はトラ特別委員会の推奨に基づき、トラの保護に十分な資金‐現在の計画では152億円(1ルピー=およそ2.5円 2008年8月1日14時15分現在)-を保証した。

真の課題は、世界銀行の召集力と専門知識という誘惑を退けて、この資金を賢明に使うことである。

*K Ullas Karanth はバンガロールでの野生生物保護協会インドプログラムに従事している。

(翻訳協力:関みゆき・編集協力:石井紀子)

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