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2008年6月 5日 (木)

インドで野生のトラが絶滅の一途をたどっている

Asia Times Online Neeta Lal記 2008年4月1日 ニューデリー

インドに生息するネコ科最大の動物、ベンガルトラは、遺物になりつつある。Manmohan Singh首相の命令により設立されたインド国立トラ保護当局(National Tiger Conservation Authority (NTCA))が最近行った固体数調査は困惑させる結果であったが、それによると、現在インドに生息する野生のトラはわずか1,411頭しかおらず、1世紀前の40,000頭、2002年の3,642頭から激減している。たとえこれほどひどい数字ではないとしても、驚くほど急速な減少を懸念する環境保護活動家たちは、インドの国家的な生物は早ければ2010年までに絶滅してしまうだろうと断言する。

世界のトラ生息数の3分の1を占めるインドトラは、インドの人口増加、トラの生息地破壊、密猟、餌の減少、ダムなどの近代建築物、森林破壊や紛争によってその個体数が減少し、彼らを保護するために緊急に策を講じない限り絶滅してしまうだろう。

インドで起こっている不穏な動きは、まさに世界中のトラに起きていることを示す縮図である。世界中のトラ生息数は、20世紀には10万頭だったが、現在は約5,000頭にまで激減している。実際トラの生息地は、インド、インドネシア、カンボジア、ミャンマー、中国そしてマレーシアなどのアジアの森林にしか存在しないところまで縮小している。バリトラ、ジャワトラ、カスピトラの3亜種はすでに絶滅し、生存しているのは、国際自然保護連合のレッドリストで“絶滅危惧種”に指定されているアムールトラ、ベンガルトラ、インドシナトラ、アモイトラ、スマトラトラの5亜種だと専門家は言う。

「18世紀や19世紀に比べ、現在トラの生息地は分断された森にあるため、繁殖が非常に困難な状況です。これが種の生存に甚大な影響を与え、トラを窮地に追い込んでいるのです」と、インド環境森林省の野生生物保全専門家は語った。

最近の調査には、生息地評価、餌となる生物の存在に基づく生息数予測や、動作検知機能搭載カメラの計画的設置といった一連の評価ツールが導入された。そのため、インド政府は調査完了まで約2年の月日と、およそ1,000万USドルを費やした。この調査で、森林における家畜とトラの個体数、および人間が作った道とトラの個体数は相反する関係にあることが分かった。反対に、森林の面積とトラの個体数には密接な相関関係があることも明らかになった。

「インドの大型哺乳動物、特にトラやゾウ、サイは移動や繁殖に広大なスペースを必要とします。森林破壊がこのような行動を妨げ、そして彼らの遺伝子プールに影響を与え、野性生物種が生存していく力を弱めてしまうのです」と環境保護活動家のRamesh Thakur氏は話した。彼はインド中の森林を広範囲に歩いてまわっている。「したがって、トラを保護するためには森林被覆率を守ることがカギとなるのです」

しかし、これは口で言うほど簡単なことではない。環境森林省によると、森林面積はインド国土のたった20.6%にすぎないのだ。しかも、既にその半分近くが、大規模な農業用地、家畜の放牧そして森林火災によって失われているのである。このような変化を調べるため、政府は2002年に「インド森林行動計画(National Forestry Action Program)」を起草し、20年間でインド国土の33%を森林で覆うことを目標とした。だが、この計画は未だ何も目に見える結果を出せていない。

一方で、先月発表された2005年の森林調査報告書によると、インド政府は第10次5カ年計画(2007年~2008年)で掲げていた、森林被覆率を25%に上昇させるという目標を達成できなかったことが明らかになった。それどころか、更に728平方キロメートルもの森林が、ダム建設や2004年の津波がもたらした大被害によって失われたことが強調された。

希少動植物が多く生息するヒマラヤの森林破壊の高分解能衛星画像を分析したインドの調査員は、ヒマラヤの森林面積の15%が1970年から2000年の間に消滅したことを明らかにした。今の減少傾向が続けば、人口増加やそれに伴い増加する食物需要に対応するための過剰な農業活動によって、2100年までか、おそらくもっと早くに、この地域の森林の半分は失われるだろうと生態学者たちは危惧している。

密猟は、インドのトラにとってもう一つの大きな脅威となっている。トラの国際取引は禁止されているにもかかわらず、インド政府の推計によると、密猟者は1年間で200頭以上ものトラを殺しているのである。そのためトラは保護区の奥地に追いやられ、インドにある23の野生生物保護区の多くでトラの生息地が変わっているため、トラの姿はほとんど見られなくなった。例えば、インド有数のトラの保護区であるRajasthanのSariskaを訪れる多くの人は、森の中を悠然と歩くトラを最後にいつ見たのかを思い出せないのだ。数年前に発足した保護区内におけるトラ保護のための特別対策チームが効果的でないことは明らかである。

さらにトラの数を減少させているのは、野生生物製品の違法取引であり、それにはトラの毛皮や漢方薬への利用目的での骨や体の部位の密猟が行われているのだ。チベットと亜大陸の間で犯罪組織によるトラの毛皮の不法取引が横行している。組織的な犯罪集団は、インドの密猟者から製品を購入し、その密輸品をネパール経由でチベットに運んでいる。そこでは裕福な中国人が、見た目も良く、効能があるとされるトラの製品を買っていくのだ。

例えば、中国では、トラの歯、爪、ひげ、骨などは5,000ドルから10,000ドルで売られるが、トラの毛皮は50,000ドルという驚くべき高値で売られる。「インド野生生物保護協会(WPSI)」の推定によると、この4年間で少なくとも440頭のトラが殺され、その死体は漢方薬に使用されるために売られたと考えられている。

NGO「環境調査機関(EIA)」および「WPSI」は、最近の報告書に、ヒマラヤ高原がインドのトラの毛皮で儲ける市場となっていると記した。チベットに入ったインドの秘密捜査員たちは、ラサで公然とトラの毛皮を販売している店をカメラに捉えた。捜査チームはまた、地元の遊牧民たちがトラ毛皮のローブを身にまとって踊る儀式の様子を記録した。更に、トラの毛皮は、黙認している警察官の目の前で、トロフィーや壁掛けとして地元のマーケットで堂々と売られていた。「ある店では、108頭のトラの毛皮から装飾品が作られていた」と調査員の報告書に書かれていた。

粉末状のトラの骨や、ひげ、ペニスは、皮膚病から痙攣、勃起不全まで、あらゆる病気を治療するための漢方薬に何千年も昔から使用されてきた。中国の人口が13億人に膨れ上がるとともに、トラ製品の需要も同時に増している。

「このような密猟を阻止することは困難なこともあります。なぜなら、トラの毛皮やトロフィーだけが売られていた以前とは違い、今日では、各部位が金に値するぐらい価値のあるものとして、トラがまるごとインドから密輸されるのです」とThakur氏は言う。

トラにふりかかる更なる災難は、インド北東部および南部の州、特にAndhra Pradesh州で起きた暴動である。Andhra Pradesh州では、村の家畜の牛が獰猛な野生生物に殺害されたことに対する地元村民への補償金支払いを政府が先延ばしにしているとして、極左翼(ナクサル党)が村民にトラを殺すよう扇動したのだ。

激減するトラを懸念し、インド政府は1972年にプロジェクトタイガーを発動させた。世界中から寄付金が集まり、1989年までにインドに生息するトラの個体数はじわじわと増加し、4,300頭になった。しかし、森林保護区内でのトラの個体数は飛躍的に増加したが、特に保護区以外の森林における効果が現れていないことがプロジェクトタイガーの一番の問題である。

悲しいことに、インド州政府はトラの問題の重大さにまだ気付いていない。インド政府が州政府に対し、協力、監視およびトラ保護のために運営委員会の設置を要請してからもう5年になる。1972年に制定され、2006年に改定された野生生物保護法の第38条に必須項目として制定されているにもかかわらず、今のところ実行しているのは、トラ保護区のある17州のうち、Assam州、Arunachal Pradesh州、Mizoram州の3州のみである。

同じように、センターから数回喚起されているにもかかわらず、Kerala州、Karnataka州およびArunachal Pradesh州を除き、トラの保護基金を設けている州は他にない。2006年改定野生生物保護法の第38条には、各トラ保護区がトラ保護管理を促進しサポートするためにトラの保護基金を設置することは必須条件であると定められている。

各保護区におけるトラ保護計画は、緩衝地帯とコア・エリアの線引きを明確にしなければならない。計画には、コア・エリアでの野生生物保護と緩衝地帯での管理のための対策が盛り込まれている。これにより、動物の移動をより促進しやすくし、人間と動物の衝突を回避しやすくなる。しかし、トラ保護区のある17州で、保護区周辺の緩衝地帯を示している州は今のところ一つもない。

森林官や他の局員、多くの保護区の現場スタッフのポストが多数空いていることからもまた、州政府のトラへの関心の無さがはっきりと表れている。多くのポストが、数ヶ月も空席になっている。国全体で総計約17,500ものポストが空席だった。過労、低賃金そして軽装備の森林官のポジションに就く人は少ないため、このような状況はあまり驚くべきことではない。インドの野生生物専門家として名高い、野生生物担当首相顧問のValmik Thapar氏によると、インド政府は森林官に近代兵器を装備させるべきであり、また保護活動に大きく貢献すると考えられるトラの聖域を作るべきである。

しかし、なぜインドは、どうしてでもトラを保護しなければならないのだろうか。「バランスのとれた生態系を維持するにはトラは欠かせない存在です」と自然保護活動家のAnita Nulla氏は語る。「トラの生息地がある場所はすべて、水系の唯一の源なのです。川が死んでしまうと、全ての生命が停止してしまいます。飲み水がなく、灌漑もない、木に覆われていない土壌は侵食し、その地域の人間社会は崩壊するのです。」
トラが住む森の恩恵を評価するため、Nulla氏は、Madhya Pradesh州の中心にあるKanhaトラ保護区を通って流れるNarmada川のケースを例に挙げた。この保護区は、たとえ他の水源が枯渇してもNarmadaに水を供給し、結果、その地域の生態系は保たれた。

トラに迫る大きな脅威をふまえ、政府は第11次5ヵ年計画(2007年~2012年)で、トラ保護のための予算を1.51億ドルに増やした。政府は近年新たに8つのトラ保護区を公表し、森林地帯に移住する人々のための予算を一家族につき2,565ドルから25,641ドルに引き上げた。より効果的な保護区管理を監視する力を持つと考えられるインドトラ保護委員会(NTCA)は、トラ保護計画に含まれている。

インド政府が自国のトラを救うことに真剣に取り組めば、政府はまさに保護活動の成果をあげ、移住および保護区外の地域に生息するトラの個体数に再び焦点をあてなければならなくなるだろう。インドでのトラの長期生存を確立するためには、現在生存しているトラの安全を確保し、また地元住民と共に働き、トラの保護で彼らに直接利益を与えることで、森林管理を向上させることが不可欠である。

William Blakeの有名な詩を少し変えて言うと、それが行われるまでは、確実にインドのトラの未来は輝くことはないだろう。

ニューデリーを拠点に活動するフリー・ジャーナリストのNeeta Lalは、世界20カ国で70社以上の出版社から作品を出版している。

http://www.atimes.com/atimes/South_Asia/JD01Df01.html

(翻訳協力:本多加代子・編集協力:戸川久美)

※     プロジェクト・タイガー

トラ個体数は1972年の1827頭から1989年には4300頭に回復したとプロジェクト・タイガーの成功談になっていますが、いままで懸念してきた足跡調査の信頼性と今回の調査から、当時この数まで増えてはいなかっただろうと思われます。狩猟禁止や保護区設立、レンジャー雇用等でトラ保護の形が出来たことは評価され、この間に数の回復は確かにしたでしょうが、成功を急ぐために足跡調査の水増しもあったと述べる研究者も多くいます。一番の問題は、その後、保護区内の管理が継続して機能できなかったことです。そして本文にあるように保護区外の開発を推し進めてしまった皮肉な結果をもたらしてしまいました。インディラ・ガンジーの意思がインドで引き継がれなかったことが今のトラ保護の現状です。(JWCS事務局次長:戸川久美)

 

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